心の傷も原因に ホームレスの人に支援を届ける

ホームレスになった背景とは
ホームレスというと、中高年の男性が思い浮かぶかもしれません。しかし実際には、DV被害に遭って家を出た人、行き場をなくした10代の子どもなど、幅広い属性の人が含まれます。そしてその中には、例えば幼少期に子ども虐待やヤングケアラーを経験して、つらい体験が大人になってもトラウマとして残る「逆境的小児期体験」をもつ人たちが多くいることが、海外の調査研究から見えてきました。ホームレスの背景には、本来助けが必要な人たちに必要な支援が届いていなかったという現実があるのです。
身体的アプローチで心をケア
効果的なトラウマケアのためには、まず対象者の性格や心理状態などを丁寧に把握・評価する「心理アセスメント」が行われます。その際、その人の弱みや苦しみだけでなく、健康的な部分やその人の強みも見つけていくことも重要です。「心理アセスメント」はその人を全体的に知ることなのです。
トラウマケアには当時の記憶と向き合う方法もありますが、無理をして記憶を掘り起こす必要はありません。言葉にしようとして閉じ込めていた心のふたを開けると、またつらい気持ちがよみがえってしまいかねないからです。トラウマは胸のざわつきや頭痛などの身体症状としてあらわれることもあります。そのため、トラウマの記憶を言語化せずにケアすることも可能なのです。その一つが「TSプロトコール」という簡易的なトラウマ処理技法で、身体症状だけに焦点を当ててアプローチし、心の傷を和らげることができます。
トラウマ研究の広がりに期待
トラウマケア技法は、一般的に、身につけるための時間的・経済的なコストが高い傾向にあります。しかし、TSプロトコールは時間的・経済的なコストが低いのです。心理士の実践例がまだ少ない生活困窮者支援の現場にも導入しやすいという特徴があります。日本では、ホームレス状態にある人のトラウマに着目した研究はほとんど進んでいません。しかしながら、研究のニーズは高く、今後支援の輪が広がっていくことが期待されています。
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中京大学 心理学部 心理学科 臨床心理学領域 教授 明翫 光宜 先生
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