まちづくり成功のカギは「リスク管理」にあり

夢を語るだけでは足りない
まちづくりでは、「若者が集まるカフェをつくろう」「高齢者向けの交通サービスを整備しよう」といった理想的な未来像が語られがちです。一方で、「お客さんは本当に来るのか」「人件費は維持できるのか」などの現実的な問題も現れます。まちの人口構造や財政、需要などによる、多くの不確実性が存在するのです。そこで重要になるのが、明るい未来に向けたアイデアと、起こり得るリスクを同時に整理する視点です。まちづくりに潜むリスクをどのようにとらえて意思決定に生かすのか、その仕組みを明らかにする研究が進んでいます。
未来を読む「リスク方程式」
研究のベースになるのは「意思決定論」という学問です。社会や組織がどのように判断を下すのかを明らかにする分野で、数学や統計学、心理学、経済学など複数の領域が関わります。まちづくりにおいては、まず地域住民や関係者を集めて、アイデアを自由に出してもらいます。その後、「このアイデアを実行すると、数年後にどのような問題が起こり得るか」という視点でリスクを洗い出してもらいます。こうして見えてきた関係を「リスク方程式」として整理し、コンピュータシミュレーションを用いて将来予測を行うのです。中学で学ぶ一次方程式をいくつも重ねていくことでリスク方程式をつくり、意思決定のモデルとして示すことが可能です。
リスクを評価しながら意思決定を
この研究を通して、東北のある地域では、それまで廃棄に回されていたリンゴを地域住民がアップルパイの具材に加工して販売するビジネスが生まれました。比較的コストのかからないシンプルな加工で、業務用として流通させることで、廃棄コストなどのリスクを減らしながら新しい市場を創出したのです。リスクを「すべて排除すべきもの」として扱うのではなく、どの程度のリスクならコントロールしやすいか、受け入れる必要があるのか、などを整理しながら意思決定を行うことが、持続可能なまちづくりにつながると言えるでしょう。
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