「中学から勉強が難しくなる」のはなぜか 教科書を分析する

「小中ギャップ」とは
中学校に進学すると、「勉強が難しくなった」と感じる生徒は少なくありません。これは「小中ギャップ」と呼ばれる現象の一つです。従来は、「学級担任制から教科担任制への変化」や「部活動の開始」など、学校生活の変化が主な要因として語られてきました。一方で、学ぶ内容にも変化があります。理科の教科書を見ると、小学校ではアサガオの観察などの体験を重視する内容が多くあります。対して中学校では、専門用語や概念を説明する文章が増えています。この「難しさ」は、教科書の書かれ方から生じている可能性があります。
教科書を「計ってみる」と
教科書の文章を、計量的に分析する研究が行われました。研究では小学5年生から中学2年生までの理科の教科書の文章を「用語」「定義」「分類」の3つで整理しました。用語は「発芽」や「化石」などの概念を表す言葉です。定義は「発芽とは、植物の種子が芽を出すこと」のように、その概念を説明する表現です。分類は「種子植物は、被子植物と裸子植物に分けられる」といった、概念どうしの位置づけを示す表現です。分析の結果、小学6年生から中学1年生にかけて、定義表現と分類表現が約4倍に増加していることが明らかになりました。一方で、用語自体の数は段階的に増えており、急激な増加は見られませんでした。つまり「知らない言葉」の急増ではなく、「その言葉を抽象的に説明する文章」が急増していることが、中学校の学びが難しく感じられる一因になりうることが示唆されたのです。
学びの壁の可視化で開ける世界
一方で学習指導要領には、この急激な変化を意図するような記述はありません。さらに実際の文章を作る教科書会社にも、文の長さや使用する漢字についての基準はあるものの、定義や分類がどれだけ増えるかといった尺度はありませんでした。教科書の中にある「学びの壁」を可視化し、どこでつまずきやすいのかを把握できれば、授業での補足や教材の工夫など、効果的な学びの支援につながることが期待されます。
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