あなたにとっての「むなしさ」は? 人の心を言葉の解釈から読み解く

移行期の心の動き
進学や就職、定年退職というタイミングは、環境が大きく変わるため、大きなストレスを感じることがあります。一方、おめでたいライフイベントでは戸惑いや苦しさを表に出しにくく、また周囲からも見えにくいものです。
時代や社会が変化する中、人生の局面で人は何を感じ、どう生きていくのか。そうした問いを出発点に「移行期の心理」の研究が進められています。
身近な言葉を糸口に
キーワードとなるのは、例えば「むなしさ」「大学院」「女子力」といった日常の中の言葉です。特別な専門用語ではなく、身近な言葉を糸口に、アンケートや個別インタビューを組み合わせながら、人の心の実態を探ります。
高齢者の「むなしさ」について、60~80代を主な対象に個別インタビューとオンライン調査が実施されました。調査では、アンケートの自由記述によるテキストデータの分析も重視しました。見えてきたのは、年代によって「むなしさ」の性質が異なるということです。比較的若い高齢者は、「やったのに報われない」という行動の手応えのなさに由来する感情が強く表れる一方、70代以降になると、周囲の人間関係が失われていく喪失感が増す傾向が見られました。
「大学院」に関する調査も同様の形式で行われ、学問への探究心、経済的不安、能力への自信のなさが複雑に絡み合う、進路選択時の心の葛藤が明らかになりました。
違いを知ることが、理解の入り口になる
どのキーワードの調査にも共通するのは、人によって言葉の感じ方も解釈も異なるという点です。わかりやすい例では、「女子力」に関して、女性はメイクを「身だしなみ」ととらえる一方、男性は「おしゃれの一環」として答える傾向が見られました。同じ言葉、同じものを見ていても、とらえ方は人それぞれです。人の感じ方を完全に共有することは難しくても、違いを理解することは、人が悩みながらも健康に生きていくための環境づくりにつながるはずです。
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フェリス女学院大学 グローバル教養学部 心理コミュニケーション学科 心理専攻 准教授 大上 真礼 先生
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臨床心理学、高齢者心理学先生が目指すSDGs
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