州や都道府県が「条約」を結ぶ? 自治体から見る国際法

政府に無断で外国と約束?
「国際法」とは、国と国が協議して作り、互いに守っていくルールのことです。ルールに沿って文書で交わした具体的な約束を「国際条約」と呼びます。
例えばアメリカでは、大統領や連邦議会が国際条約を結ぶ権限を持ち、国内の50の州が独自の判断で勝手に外国と条約を結ぶことは憲法で制限されています。いわば、国という大きなチームのルールを、一部のメンバーが勝手に変えてはいけないという仕組みです。ところが調査の結果、アメリカの各州が連邦議会の許可を得ないまま外国と結んだ「約束」が約1,200件も見つかりました。
自治体が独自で「契約」
日本でも各都道府県に情報公開請求を行ったところ、約180件の国際的な約束が、独自に結ばれていることがわかりました。その多くは経済協力に関するものです。例えば、鹿児島県は香港やシンガポールと学術や文化、青少年の交流プログラムを20年以上続け、宿泊費などのお金の運用についてルールを取り決めています。東京都ではスリランカやモンゴルと、動物園に象や馬を寄贈してもらう約束を交わしています。これらは国を通さず、自治体が直接外国と「契約」を交わしている事例です。
国際的トラブルに要注意
ここで法学的に非常に重要なのが、文書の「言葉」です。アメリカでは、英語で国同士の約束を「Treaty(条約)」、州などの自治体が結ぶ約束を「Compact(協約)」と表現し、主体や約束の重みによって厳密に使い分けます。また、文中の言葉にも細心の注意が必要です。例えば「shall」が用いられると、当事者にそのつもりがなくても、法的に「実行しなければならない」という強い拘束力が生じます。万が一約束が破られたとき、この一言があるだけで法的責任が問われる大きなトラブルに発展する恐れがあるのです。
グローバル化により、今や国だけでなく自治体も多様な約束を取り交わす時代です。その実態を精査し、紛争の発生時に法的に解決できる「枠組み」を整えておくことも、国際法学の重要な役割なのです。
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