現場で起きている問題を解決! 薬の安全性を守る病院薬学

薬への反応は十人十色
実際に病院で起きている薬の問題を研究する「病院薬学」において、薬の安全性を守ることは大切なテーマです。
新薬は、臨床試験で健康な人や患者を対象に効果と副作用を確かめてから販売されますが、幅広い患者に使われるようになると、新たな副作用が起きることがあります。薬に対する反応は、年齢や体重、持病、食事の内容など、さまざまな要因で変わるからです。このため病院の薬剤師は、新たな問題が起きていないか調べるために患者のデータを分析し、研究しています。
高齢になると、薬の代謝・排せつをする腎臓や肝臓の働きが衰え、薬の成分が体内に残ることで副作用が出やすくなるため、薬の量や飲み合わせに特に注意が必要です。超高齢社会を迎え、薬剤師が一人一人に合わせたオーダーメイドの薬物療法を支えることが、より重要になっています。
緊急時には
感染症の流行など緊急時に必要になる薬は、臨床試験のデータが出そろうのを待たずに使用されることがあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の治療薬も特例としてスピード承認されたため、安全性のエビデンスが不十分でした。そこで、ある病院薬学の研究者はいち早く現場で得られる患者のデータを収集・分析し、その知見を世界に向けて発信しました。こうした研究が実り、この薬はより多くの患者に安全に使用できるようになりました。
不要な薬の処方をなくす
薬の適正使用もまた、病院薬学の大きな目的です。最近、高齢者が複数の病院に通って多くの薬を処方され、副作用や飲み忘れが起きやすくなる「ポリファーマシー(多剤服薬)」が問題になっています。これは、かかりつけ薬局をつくり、不要な薬の処方をなくすことが解決策になると考えられています。しかし、どんな患者がポリファーマシーになりやすいのかなど、まだわかっていないことが多くあります。実際に高齢患者の服薬状況を調べ、なるべく薬を減らしながらそのデータを分析するなど、いろいろな研究が進められています。
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