講義No.16066 薬学

現場で起きている問題を解決! 薬の安全性を守る病院薬学

現場で起きている問題を解決! 薬の安全性を守る病院薬学

薬への反応は十人十色

実際に病院で起きている薬の問題を研究する「病院薬学」において、薬の安全性を守ることは大切なテーマです。
新薬は、臨床試験で健康な人や患者を対象に効果と副作用を確かめてから販売されますが、幅広い患者に使われるようになると、新たな副作用が起きることがあります。薬に対する反応は、年齢や体重、持病、食事の内容など、さまざまな要因で変わるからです。このため病院の薬剤師は、新たな問題が起きていないか調べるために患者のデータを分析し、研究しています。
高齢になると、薬の代謝・排せつをする腎臓や肝臓の働きが衰え、薬の成分が体内に残ることで副作用が出やすくなるため、薬の量や飲み合わせに特に注意が必要です。超高齢社会を迎え、薬剤師が一人一人に合わせたオーダーメイドの薬物療法を支えることが、より重要になっています。

緊急時には

感染症の流行など緊急時に必要になる薬は、臨床試験のデータが出そろうのを待たずに使用されることがあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の治療薬も特例としてスピード承認されたため、安全性のエビデンスが不十分でした。そこで、ある病院薬学の研究者はいち早く現場で得られる患者のデータを収集・分析し、その知見を世界に向けて発信しました。こうした研究が実り、この薬はより多くの患者に安全に使用できるようになりました。

不要な薬の処方をなくす

薬の適正使用もまた、病院薬学の大きな目的です。最近、高齢者が複数の病院に通って多くの薬を処方され、副作用や飲み忘れが起きやすくなる「ポリファーマシー(多剤服薬)」が問題になっています。これは、かかりつけ薬局をつくり、不要な薬の処方をなくすことが解決策になると考えられています。しかし、どんな患者がポリファーマシーになりやすいのかなど、まだわかっていないことが多くあります。実際に高齢患者の服薬状況を調べ、なるべく薬を減らしながらそのデータを分析するなど、いろいろな研究が進められています。

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福岡大学 薬学部  教授 兼重 晋 先生

福岡大学 薬学部 教授 兼重 晋 先生

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病院薬学

メッセージ

薬剤師は社会貢献度の高い仕事で、病院以外でもその力を発揮できます。本学の薬剤師は、新型コロナウイルス感染症の流行時、地域のワクチン調製業務や相談窓口の電話対応にあたりました。災害派遣活動に関わる教員も多く、私も能登半島地震の災害支援活動に参加しました。病院薬学は、現場の課題を解決して患者さんに貢献するやりがいのある分野です。本学は隣の大学病院での研究活動の機会が充実しており、患者さんや先輩薬剤師の近くで学びたいなら、ぴったりの環境が整っています。

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福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から90周年で輩出した卒業生総数は28万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。