ありふれた元素から作り出す、誰も知らない新機能化合物

低コスト・環境に優しい新材料を探す
「まだ誰も知らない新しい物質」というと、珍しい元素で構成された化合物を想像するかもしれません。ところが、超高圧力などの特殊な合成手法を使えば、「ユビキタス(ありふれた)元素」からまったく新しい化合物を生み出すことが可能であり、未知の無機材料が探索されています。
合成された新規化合物は、結晶構造や電気抵抗、磁性などの物性を、物理的手法を用いて測定し、データ解析して機能性を評価します。優れた機能性を持つ化合物が見つかれば、ユビキタス元素から合成可能な、低コストで環境負荷の小さい新規機能性材料として実用化が期待できます。
ユビキタス元素から作る超伝導体
新規化合物を作り出す特殊な手法の1つが、高温高圧力下での化合物の合成です。
カルシウム、アルミニウム、ケイ素はいずれも、地表付近に存在する元素の割合を表したクラーク数が5位以内に入るユビキタス元素です。この3つの元素で構成される既存の化合物を、15万気圧、2千度という地球の内部環境に匹敵するような高温高圧力下で反応させます。すると、元の化合物とは異なった構造の新しい化合物が得られ、超伝導の特性を持つことがわかりました。これはユビキタス元素のみで作られた、世界で初めての超伝導体です。
同じ元素の組み合わせでも
もう1つはアンモニアを利用した合成方法です。窒素を含んだ化合物である窒化物を作る元素は、合成の過程で窒素だけでなく酸素とも結合しやすいことが多く、純度の高い窒化物を作るのは容易ではありません。そこで、超高純度のアンモニアで新しい純窒化物を作ります。
例えば窒化ジルコニウムは、セラミックの材料や耐火材料として広く実用されている化合物です。これまで、窒素に比べてジルコニウムが多い窒化ジルコニウムの結晶はよく知られていましたが、超高純度アンモニアを用いることで、ジルコニウムに対して窒素が過剰な結晶を作ることに成功しました。この新しい窒化ジルコニウムは、既存のものとは異なる性質を持つことがわかっています。
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