宇宙から降り注ぐ「コズミックレイ」の謎を解明

飛んでくる宇宙線とは
宇宙線(コズミックレイ)とは、宇宙空間から地球に飛んでくる高エネルギーの粒子のことです。宇宙線が地球の大気に突入すると、わずか1粒の粒子が数千億から数兆個まで連鎖的に増えながら広がる、「空気シャワー」という現象が起こります。この現象によって大気中で発生する微弱な光を望遠鏡で観測し、宇宙線のエネルギーや飛んできた方向を調べる研究が進んでいます。
宇宙線を正しく測るカギは「大気の見え方」
空気シャワーの微弱な光は大気中を数十kmにわたって進むため、途中でちりや微粒子(エアロゾル)によって光が散乱すると、望遠鏡に届く光の量が本来より暗く変化してしまいます。その影響を考慮しなければ、観測する光のエネルギー量を見誤る可能性があります。
そこで重要になるのが、大気の透明度を測定する研究です。アメリカ・ユタ州の荒野に設置された宇宙線観測施設では、南北約100km、東西約50kmにわたる広大なエリアに検出器を配置し、大気透明度を測定するレーザー観測システムが構築されています。上空へレーザーを照射し、その光が大気中で散乱する様子を蛍光望遠鏡で観測します。1年に及ぶ観測とデータの解析により、大気の濁りの代表的な値VAOD≒0.04を求めました。これは地上における20km遠方の上空5kmからだと約84%の光が届くということを示します。この結果は、宇宙線観測の基礎情報として活用されることが期待されます。
見えない宇宙線を“体感”する時代へ
宇宙線は世界的に重要な研究テーマですが、日本では認知度が低いのが実情です。そこで、英語の「コズミックレイ」というキャッチーな呼び方を用いながら、ユーチューバーと連携した研究内容の発信や、空気シャワーの現象を体感できるVRソフトを科学館や万博で公開する活動が行われています。空気シャワーを低コストかつ少ない手間で観測できる検出器を開発するなど、研究の裾野を広げるための取り組みも精力的に進められています。
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