病気に負けないハクサイを作る! 植物育種の「いま」

根こぶ病に強くする遺伝子
「根こぶ病」は、キャベツやハクサイなどのアブラナ科の植物に大きな被害をもたらす土壌伝染病です。土中にいる根こぶ病菌の休眠胞子を抑えるには、植え付け前の土に農薬を混ぜ込むことが必要ですが、この作業は非常に大変です。しかし、この病気に抵抗性を持つ品種ができれば、農薬を使わずに済みます。根こぶ病菌には4つのタイプがあることがわかっています。それぞれのタイプの菌に抵抗性のあるキャベツの品種がいくつか見つかっており、すでに3つの抵抗性遺伝子を持つキャベツの育種に成功しています。現在、さらに抵抗性の高い新しい品種を作るための研究が進められています。
育種期間を大幅短縮
かつて、植物の新しい品種を作る(育種)には、10年以上の期間が必要でした。しかし、最近では半分程度に短縮できています。遺伝子組み換え作物ではなく、従来通りの掛け合わせによる育種でも、遺伝子を分析して選抜できるからです。例えば、ある病気に抵抗性を持つ野菜の品種を作りたい場合、以前は野菜が大きくなるまで育てて、病気に強い株を選別するしかありませんでした。しかし、Aという抵抗性遺伝子がわかっていれば、苗のうちにA遺伝子を持つ株だけを選び取って育てればよく、育種にかかる時間とコストを減らせるのです。純系の植物体を得る方法として、未成熟花粉を培養して半数体を育成し、その後、染色体を倍加する「半数体育種法」も使われます。
黒っぽくならないブロッコリー
寒い時期、黒っぽく変色したブロッコリーを見たことはないでしょうか。寒さのストレスでブロッコリーがアントシアニン(ポリフェノールの一種)を作るためで、その見た目から「傷んでいる」と敬遠されがちです。しかし、中には寒くても緑色を保つブロッコリーもあります。調べてみると、アントシアニンを蓄積する遺伝子に欠損がある場合、黒っぽくならないことがわかりました。このような遺伝子を持つ品種を作ることができれば、寒くても緑色を保つブロッコリーが育てられるでしょう。
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