講義No.16112 外国文学

ロシア文学は魅力がいっぱい 楽しみ方が広がる読書の方法

ロシア文学は魅力がいっぱい 楽しみ方が広がる読書の方法

読者として読む

ロシア文学といえば、トルストイの『戦争と平和』やドストエフスキーの『罪と罰』を思い浮かべるかもしれません。これらを含む19世紀の作品は、内容が込み入っていて、難解な印象を持たれがちです。しかし、登場人物や物語の展開に目を向けると、風変わりで個性の強い人物たちがドタバタやりあったり、そうかと思えばメロドラマ的な展開に進んだりなど、意外と気軽に楽しめる面もあります。今風の切り口であれば、「映像化するなら俳優は誰か」「推しのキャラクターは」といったテーマで盛り上がることもできるでしょう。「暗い」「重い」「長い」というイメージがいまだに付きまとうロシア文学ですが、そんな紋切り型のイメージをやすやすと吹き飛ばすような作品も、実はたくさんあります。

研究者として読む

文学作品は単独で生まれるのではなく、さまざまな作品との関わりのなかで生まれます。ひとつの作品の背後には無数の作品が網のように絡まりあって広がっています。その網をときほぐし、歴史的な観点から整理することも研究者の重要な仕事です。作品がはらむ歴史的な面白さは、作品の価値評価とは必ずしも一致しません。忘れられた一篇の小説が、文学史を再考するうえで欠かせないピースとなることもありえます。そうした作品を「発見」するのは、研究者としてもっとも心躍る瞬間です。

翻訳者として読む

私たちは翻訳を通じて海外文学に触れます。翻訳とはたんに言葉を置き換えることではなく、言語芸術を別の言語で再現することです。したがって、訳された文章も文学になっていなければなりません。たとえばセリフひとつをとっても、登場人物の性格や声色も考えながら言葉を選びます。もっとも、実際の翻訳はきわめて地味な作業です。種々の辞典や文献を調べ、論理的に訳語を選択します。それでも最後のところでは、自分がどう読んだのかがまるごと問われます。そこに、訳者が想像力を働かせ、感覚を研ぎ澄ませる余地もあるわけです。訳すことは文学作品を楽しむ究極の方法といえるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

千葉大学 文学部 人文学科 国際言語文化学コース 准教授 高橋 知之 先生

千葉大学 文学部 人文学科 国際言語文化学コース 准教授 高橋 知之 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

ロシア文学、比較文学、翻訳

メッセージ

文学作品は、無理に最後まで読み切らなくても構いません。読んだのが途中までであったとしても、出会った言葉や表現はあなたの中に残り、時間がたってから読み返すことで新たな意味を持つこともあります。ですから、気楽にさまざまな作品に触れてみてください。文学作品には日常では出会えない言葉の美しい連なりがあり、しびれるような文句や、ときには奇怪で異様な表現さえ見られます。翻訳を通じ、外国語学習を通じ、言語の境を超えて作品を楽しむこともできます。音楽を聴くときのような軽やかさで、まずは本を開いてみましょう。

先生への質問

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。