「うまく話せない」を和らげるマスクの意外な効果

人と話すことが苦手だったら……
「人と話したいけれど、話すことがなんとなく苦手」と感じている「人見知り」は少なくないでしょう。特に「自分はこういう人間だ」という自我が確立していく思春期は、周囲に良く評価されたいという気持ちが強くなり、不安が高まる時期です。自分の発言や振る舞いが相手に変だと思われないか、という「対人不安」が高まり、中にはまったく他人と話せなくなってしまう人もいます。しかし、状況を変えることで対人不安を和らげる方法があります。その一つが「マスクをつけて話すこと」です。
マスクをつけると話しにくい? 話しやすい?
心理学の実験で、コミュニケーションに不安がある・ない人に、マスクつけて・つけないで、初対面の人と会話をしてもらいました。すると、不安がない人は「マスクをつけると話しにくい」と答えたのに対して、コミュニケーションに不安がある人では「マスクをつけた方が話しやすく、会話もうまくできたと感じる」という回答が多く、相手の目を見る時間が長くなっていました。相手が自分のことをどう思うかを考えすぎて、他者とうまく話せないという人にとっては、まずマスクをつけて話してみることがコミュニケーションの第一歩となり得るのです。
目を見る日本人、口を見る欧米人
では、なぜ日本ではマスクがこれほど効果的なのでしょうか。そこには日本特有の文化が関係しているのかもしれません。日本人は、マスクをつけることへの抵抗感が比較的低いといわれていて、コロナ禍以前から、すっぴんを隠したり花粉症対策などで、日常的にマスクをつける習慣がありました。これは、日本人は相手の目に注目して感情を判断する傾向があるため、マスクで口元が隠れても不安になりにくいからではないかと考えられます。反対に欧米人は、相手の口元を見て感情を判断するので、マスクをすることを好まないと考えられます。社会心理学の知見を使って、状況や環境が人の心理や行動にどう影響するのかを知ることで、コミュニケーションの悩みに対処するヒントが見つかるのです。
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