日本建築・庭園の美を伝える 当時の感性を感じ取るには

修復は感じる知性が必要
方丈、書院、茶室、それらに付随する庭園、商人や職人が住んだ「町家」など、日本の伝統建築は文化的価値があり、文化財として保全や修復が行われています。そうした仕事をするには、古い文献を読み解くだけでなく、保全するべき本来の価値、つまり、日本独特の美学を感じ取る感性も必要です。文献ではわからない部分も、本質を見失うことなく補って復元しなければならないからです。そのためには、「和の建築とはこういうもの」という常識を疑い、実際に現物を見て、当時の人の意図をくみ取る力を養う必要があります。
現場で体験して意図をくむ
京都にある国宝「待庵(たいあん)」は、茶道を確立した千利休が建てた2畳の茶室です。利休はここで豊臣秀吉をもてなしたとされています。この2畳の茶室のモデルが、茶事を行う最小単位とされています。
この二畳の密な空間は厳しく同時に美しいです。しかし「利休は秀吉を床の間に座らせ、自分はふすまの外にいたのではないか」という説があります。待庵において天下人との間に「茶」と「間」のみを挟んで対峙する間合いの美意識を体感すると、その説の理由も理解できます。何が正解かではなく、実際の建物を体験することでしかわからないことがあるということです。
庭園も同様です。例えば桂離宮には行き止まり園路があります。昼に歩くと理解しがたいのですが、月を見る場であったりもします。多様な利用状況を知るとその意図を理解できるのです。
日本の美の本質を理解して創造に生かす
最近では、「和モダン」と呼ばれるような和風の建築やインテリアが、外国人にも人気があります。しかしそのような「新しい美」も、例えば座ったときの視線の低さに日本の美の本質があることに気づかなければ、単に和の意匠を散りばめただけの空間になってしまいます。椅子座と床座の違いと共通点を感じるのは彼らの方が上かもしれません。
古い建築や庭園を体験し、日本の美の本質を理解することは、和の新しい美を創造するためにも大切なのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報

京都美術工芸大学 建築学部 建築学科 講師 北岡 慎也 先生
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