現代人は不足している? 骨の健康を支えるビタミンD

現代人は不足している? 骨の健康を支えるビタミンD

静かに広がるビタミンD不足

ビタミンは少量で体を支える重要な栄養素です。中でも、ビタミンDは生命維持に必須の栄養素であり、特に骨の健康に欠かせないビタミンです。欠乏すると、小児では「くる病」、成人では骨軟化症を引き起こし、極度に欠乏すると低カルシウム血症により、命に関わる状態に陥ってしまいます。現在、くる病の発症率は1万人に1人程度にまで減少しており、重い欠乏症は少なくなっている一方、血中濃度を測らないと気づけない「潜在的な不足」状態の人が増えていることが問題となっています。女性の母乳を過去と現在で比較分析した結果、若い女性のビタミンDの栄養状態が以前より大幅に低下していることも明らかになっています。

影響は骨だけじゃない

健常者を対象にした調査でも、血中のビタミンD濃度が低いグループは高いグループより骨折率が高く、健常者の約半数がそのリスクの高いグループに当てはまるという結果が出ています。さらに、体のさまざまな細胞にビタミンDの受容体が存在し、ビタミンDが免疫の調節や炎症の抑制に関わっていることもわかってきました。新型コロナウイルス感染症の流行時に行われた入院患者の調査では、血中のビタミンD濃度が低い患者ほど重篤化しやすい傾向が確認されています。

食生活と検診で骨を守る

ビタミンDが不足しやすい背景には、紫外線対策の普及や、魚離れなどの食生活の変化があります。そこで、新しいビタミンD含有食材の探索が進められ、従来の魚類や乾燥きのこ以外に、甲殻類などの海産物にビタミンDが含まれていることが発見されました。
ビタミンD不足は自覚症状が出にくく、骨折して初めて気づくケースも多いため、定期的な検診で状態を把握することが重要です。健康増進法により全市町村で骨粗しょう症検診の実施が義務付けられていますが、受診率は全国平均5%程度と極めて低い状況です。検診受診率向上のために、ビタミンD不足の改善と骨粗しょう症検診を組み合わせた公衆衛生活動も始まっています。

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神戸学院大学 栄養学部 管理栄養学専攻 教授 津川 尚子 先生

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公衆衛生学

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メッセージ

興味があることに一生懸命打ち込んだ経験は、大学に進んでも社会に出てからも、きっと大きな力になります。勉強でも部活動でも、それ以外の何かでも構いません。自分が選んだことに集中して取り組む力は、これからの人生の大切な土台になるはずです。そして、自分の体は毎日食べる物からできていることを意識してください。特に骨は若い時期にこそしっかりと作られます。見た目や体重を気にするだけでなく、自分の健康のために食事ときちんと向き合う習慣をぜひ若いうちから身につけてください。

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