海賊から読み解く、歴史のリアル

海賊は悪者ばかり?
17世紀初頭、イギリスに「東インド会社」という貿易会社が設立されました。実はこの会社は、英国政府、商人そして海賊が協力して作ったと言われています。海賊というと、某漫画の麦わら帽子の船長などフィクションの世界でおなじみの存在ですが、現実に存在していました。そして、フィクションの中の海賊が「悪役」として描かれたり、「ヒーロー」として描かれたりとさまざまな顔を持つように、実際の歴史上の海賊もまた、一筋縄ではいかない存在だったのです。
女王は海賊のスポンサー
大航海時代のイギリスは、海賊に支えられた国でした。エリザベス女王自身が海賊のスポンサーとなり、海賊たちはその資金で船を出し、他国の船団を襲撃して巨額の利益を上げていました。もちろん略奪の限りを尽くす、いわゆる「悪」の海賊も実際にいましたが、中にはフランシス・ドレイクのように、1577~80年の世界周航だけで30万ポンドを稼ぎ、女王からナイトの称号を授けられた人物もいます。当時の海賊は優れた航海技術を持ち、行く先々で探検家にも商人にもなる、時代と場所に応じてその姿を変えながら、世界をまたにかけて活躍する存在でもあったのです。
パワハラに抵抗した船乗りが海賊に
近世ヨーロッパの陸の世界は、激しい貧富の差が支配する身分社会でした。船の上でも同様で、船長や航海士による暴力やパワハラが日常茶飯事だったといいます。そうした環境に反乱を起こした元船員や、逃亡した奴隷、ネイティブ・アメリカン、女性などさまざまな立場の人々が海賊船に集まり、投票で船長を決め、戦利品を公平に分けるルールのもとで共に生きていました。陸の身分社会では考えられない平等な世界が、海賊船にはあったのです。こうした海賊の平等性を「民主主義の始まり」と見る研究者もいます。
平等や権利は自然に生まれたものではなく、勝ち取られてきたものです。歴史を知ることは、現代の当たり前を見つめ直すことでもあるのです。
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