「炎上」の背景には何がある? 言説と歴史から社会の「空気」を読む

社会の空気を表すのは?
私たちは日々、メディアを通してさまざまな言葉に接します。例えば現職の総理大臣の発言は、時に大きく取り上げられ、社会に影響を与えますが、メディアの反応が必ずしも「皆の総意」である、社会の「空気」をとらえているとは言いきれません。むしろ、社会に流れる空気は、SNSのコメント欄や新聞の投書、あるいは手紙の中など、さまざまなメディアに記録された、名もなき人たちの言葉の中にこそ、読み取ることができるのです。
例えば、ある市長の学歴詐称疑惑が以前報道された時、一部SNSはこの話題で沸き立ち、怒りのコメントが多数投稿され、またその投稿に多くの「いいね」がつきました。そこには確かに、現代日本社会の空気が流れていたと言えるでしょう。
歴史から読み解く「炎上」
こうした空気の正体に近づくためには、なぜ皆が市長による学歴詐称に厳しい視線を向けたのか、「学歴の歴史」から考えることも有効です。明治期以降、大学を卒業することが人々のステータスであった時代を経て、現代は大学進学率が大幅に向上しました。誰もが似たような学歴を持つようになると、大学の知名度や偏差値といった学歴における小さな差が重視されるようになります。その差に対する関心の強さやこだわりが、今回の「炎上」の背景の一つだと言えます。
どこで、何が言われたか
社会学という学問は、「誰が言ったか」だけでなく、「どこで、何が言われたか」に着目し、ある時代・社会に流れる「空気」をとらえようとします。上述のように、新聞・雑誌・テレビなどのマスメディアやSNSから人々のさまざまな言説を抽出して分析すること、またそうした言説に歴史的な視点を加えてその出所をつかむことも、社会学的な手法です。「(自分以外の)皆は何を考えているのだろう?」という、とらえどころのない問いに向き合い、「それってあなたの感想ですよね」で終わらせないように、客観的な裏付けをもって答えを解き明かすことに、社会学の意義があります。
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神戸学院大学 現代社会学部 現代社会学科 准教授 鈴木 洋仁 先生
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