セラピーロボットで高齢者支援 社会に不可欠な「メカトロニクス」

日本のものづくりを象徴
「メカトロニクス」という研究領域は、電子制御で動く機械を開発する学問です。この名称は、機構・力学を表す「メカニクス(Mechanics)」と、電子工学を意味する「エレクトロニクス(Electronics)」の組み合わせです。今から50年以上前に日本人技術者がつくった造語で、今では世界中で使われています。
メカトロニクスは日本の強みであるものづくりを長年象徴する重要な分野です。現在は、AIなどの情報科学も融合させた技術開発が行われています。
人の感想を定量評価に変換
その一つが、セラピー機器や福祉機器の開発です。例えば、一人暮らしの高齢者を見守り、会話で脳を刺激して認知症を防ぐという、通報システムやAIスピーカーを備えたセラピーロボットが研究されています。どのようなトーンの声でどのような会話をすればよいか、心理学や社会学の専門家の意見を取り入れ、ロボットに反映していきます。そのときに大切なのが評価の「定量化」です。人の言葉によるあいまいな評価を数値で表すことで、機器に正確にフィードバックできるのです。例えば、リハビリテーションで指を曲げ伸ばしする訓練のとき、患者の「曲げにくい」は主観的な感覚です。これを機器に応用する際には、「抵抗が大きいと電圧が高くなる」というオームの法則を使えば、曲げにくさを明確な数値で表すことができます。
どんな機器にも対応する知識
AIなど情報技術の発達で、さまざまなものの自動化が可能になりました。しかし、そうした情報処理も、動く機械があってこそ生かされます。スピードの速い自動運転車も、ゆっくり動くセラピーロボットも、動きを制御する技術、正しく動く機構に関する知識がなければ実現できません。
メカトロニクスの技術が必要な機器は、現代社会で使われているすべての「動く機械」と言っても過言ではありません。目的に応じてどのような機器にも対応できるメカトロニクス技術を学んだエンジニアは、これからも社会に不可欠な存在です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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