街をどうブランディングする? 反映される市民の悩み

政策に反映される地域の葛藤
政策学とは、社会の課題と解決策について考える学問です。例えば地方自治体の観光政策といえば、地域経済の拡大の手段とされることは多くありますが、政策の成り立ちを詳しく見ていくと、地域住民の心の問題が関わっていることがわかってきました。自治体の政策には、住民らが共有する悩みや葛藤が反映されているのです。政策学の手法に、歴史や文化を重視する観光学の知見を取り入れて、地域が抱える課題や人々の思いを解き明かしていきます。
ファッション都市へ転換した神戸
今でこそしゃれたファッションの街として知られる神戸ですが、そのイメージは自然に生まれたわけではありません。1960年代までの神戸は重工業の街として栄えていましたが、ほかの都市と比べた際の経済成長の伸び悩み、また当時の日本各地で発生していた環境問題とも無縁ではありませんでした。そこで1970年代に市が意図的にファッションというコンセプトを打ち出し、方向転換を図ります。1973年に「ファッション都市宣言」を行い、神戸ファッション美術館を設立するなど、行政主導でファッションの都市づくりを進めていきました。
街の指針をどうするか
ある時期は街の顔だった観光資源が、使われなくなったケースもあります。青森県むつ市は1960年代のオカルトブームを背景に、死者の口寄せを行う在野の巫女(みこ)の「イタコ」を観光資源としてアピールしていましたが、長続きはしませんでした。背景には、当時のむつ市が主要産業に乏しく、地域経済の低迷が課題となっていたことが挙げられます。当時、イタコは前時代的な存在として語られることが多く、イタコ観光ブームに対して一部の市民から理解を得られませんでした。時期を同じくして、むつ市は、日本初の原子力船「むつ」の母港となったことを機に、原子力関連事業を軸とした科学の街に舵を切ります。このように、各自治体は地域の課題と市民の思いの両面を考えながら知恵を絞り、戦略的に街のブランディングを行っているのです。
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福井県立大学 地域政策学部 地域イノベーション学科 准教授 宮﨑 友里 先生
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公共政策論、政策学、観光学先生が目指すSDGs
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