磁性材料と半導体材料との組み合わせで新たな電子デバイスを!

スピン波で情報処理
物質の原子の一つ一つは磁石のように振る舞っており、原子磁石がすべて同じ方向を向いている物質は磁石になります。磁石の周りに電気を流して磁界を発生させ、原子磁石の一部を振動させると、その振動は隣の原子磁石へと伝わっていきます。これがスピン波で、これを使って情報伝達や情報処理をする研究が進められています。スピン波は発熱しないため、集積回路を流れる電流をスピン波に置き換えられれば放熱対策が不要になり、消費電力を抑えられるのです。
スピン波の伝搬に使われるのはイットリウム鉄ガーネット(YIG)などの磁性材料です。現段階では髪の毛2本分くらいのサイズのYIGを用いて性能などが検証されていますが、実際に集積回路で使うにはさらに小型化する必要があります。
高性能なゲルマニウム半導体
現状、その集積回路に使われるのは、シリコン(ケイ素)半導体が一般的です。周期表でシリコンのすぐ下にあるゲルマニウムも半導体の性質を持つ元素ですが、その性能はシリコンよりも優れています。
高性能なゲルマニウムを作るには、溶かしてゆっくりと冷やし、原子が規則正しく並んだ結晶にする必要があります。ゲルマニウムを溶かすには600~900℃の高温が必要で、プラスチックのような柔らかい素材の基板の上には作ることができません。これに対し、金を触媒として使うことで、300℃以下の温度でゲルマニウムを溶かして結晶化する技術が開発されています。すでに大きな結晶からトランジスタを作り出すことに成功しており、高性能なウェアラブルデバイスなどへの応用が期待されます。
磁性物質で半導体の性質をアップ
原子磁石の磁性は電子の自転の向きによるもので、前述のYIGの磁石の振動をうまく使えば、ゲルマニウムの中に自転が上向きまたは下向きにそろった電流を作ることが可能です。将来、電流のオン・オフだけでなく、自転の上向き・下向きを加えることで、情報の伝達量を大きく増やせるかもしれません。
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