卵巣のアンチエイジング! 畜産や不妊治療に役立つ技術を開発

卵巣のアンチエイジング! 畜産や不妊治療に役立つ技術を開発

卵巣の老化は30代で始まる

卵巣は、卵子をストックする・育てる、女性ホルモンを分泌するという大切な役割を持つ生殖器です。女性は生まれたとき、卵子のもとになる卵胞を約200万個、卵巣の中に持っていますが、その数は徐々に減り、やがて閉経を迎えます。卵胞が新たに作られることはなく、卵巣は卵胞の減少にともない30代後半から老化していくとされています。卵巣はほかの臓器に比べて老化が早いのです。

マウスでアンチエイジングを探る

年とともに妊娠しにくくなるのも卵胞の数・質の低下が大きな理由ですが、近年のマウスの研究から、卵胞の周りの組織が硬くなると、卵胞が育ちにくくなることがわかってきました。組織が硬くなる「線維化」は自然な老化現象ですが、卵巣は老化が早いため線維化も速いと考えられます。
線維化を元に戻すのは難しく、線維化が進むと肝臓では肝硬変、腎臓では慢性腎臓病といった難しい病気になります。ただしマウスの研究で、卵巣はサプリメントによって硬い組織がしなやかさを取り戻し、卵巣の機能が改善されて妊娠も可能になったというデータが出ています。卵巣は老化も早いけれど、アンチエイジングも可能な臓器なのかもしれません。

謎が多い生命誕生の仕組み

ほ乳類の生殖の仕組みを探る生殖生物学の研究は、その成果を畜産や医療に役立てることが大きな目標です。卵巣についてのマウスの基礎研究も、ウシやブタの細胞、さらにヒトの細胞というようにスケールアップしていき、卵巣のアンチエイジング法を家畜の繁殖、ヒトの不妊や更年期障害の治療に応用することをめざしています。
ほ乳類の生殖機能は、卵巣・精巣がある、卵子と精子が出会って受精するといった基本的な仕組みは同じです。しかし、例えば月経周期がマウスは4~5日、ウシは20日というように動物による違いもあって、まだわかっていないことがいろいろあります。ヒトの不妊も原因がわからない部分が多くあります。生命誕生にまつわる謎は数多く残されているのです。

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広島大学 生物生産学部 生物資源プログラム 准教授 梅原 崇 先生

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動物生命科学、動物生産科学

メッセージ

私たちの研究室は、基礎研究から実用化研究まで一貫して行うことで社会に貢献することを大きな目標としています。研究は、自分の興味のあることを対象とするのが一番ですが、社会に必要とされているかという視点を持つと対象が広がり、やりがいも増します。生殖生物学は生命の始まりを解明する、とても魅力的な分野です。動物相手なので、思うようなデータが出ないことも多いですが、予想外の結果が新たな探究の種になります。生命の誕生に興味があるなら、本学の生物生産学部で一緒に研究をしましょう!

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