狼男は昔は怖くなかった? 文学からヨーロッパの自然観を考える

時と場所を超えて作者と話す
文学は時代や地域の空気、文化を映す鏡です。そこには人々がとらえた世界の姿が投影されています。例えば20世紀フランスの詩人ポール・クローデルは大正時代末に来日し、日本文化に触れたことで新たな形の詩集『百扇帖』を発表しました。またジャン・ジュネというフランスの作家は、捨て子で同性愛者であり、売春や窃盗も経験した自分の人生を、小説『泥棒日記』として発表しています。現代の私たちは、彼らと直接話すことはできません。けれども、作品を読むことで考えや思いを共有し、対話することができます。
モンスターとポケットモンスターの自然観の違い
ヨーロッパ文化の中のモンスターは、人々の自然観を表しています。かつて狼男は、怖くない存在でした。時代の流れの中で、人々は自然と闘い、支配することが人間の意義だと考え、逆にコントロールできないものに脅威を感じ、そこから恐ろしい狼男やフランケンシュタインの怪物が誕生したのです。
日本のアニメ『ポケットモンスター』でも、モンスターが登場します。ただ「ポケット」に入れる、つまりモンスターボールの中にゲットすることでコントロールが可能になります。こう考えると、主人公のサトシがモンスターボールに入らないピカチュウを認めるということは、ヨーロッパとはまた異なった、日本的な自然との共生という概念の表れと言えるのではないでしょうか。
人間とは何かを考える
文学に触れることは、未知の文化との交流です。人々の生活や社会、自然は現地に行かなければ触れられませんし、過去の時代に遡ることもできませんが、それらを描いた文学はどこにいても、いつでも触れることができます。文学を学ぶことは、自分とは異なる人々が世界をどのように見て、どのように時代を感じているかを知る糸口です。作者が感じ取ったもののアウトプットが作品であり、それを受けとめ、応答することで私たちは作者と対話するのです。そして、その対話を通して、人間とは何か、世界とは何かを考えることができるのです。
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