科学の力で歴史資料を守る 素材の変遷から考える最適な保管方法

歴史資料の素材を知る
博物館には、古今東西の貴重な歴史資料が寄贈され、保管されています。中にはどの時代のものかが特定しにくいものもあり、複数の品が一括で寄贈されても、作られた時代は異なることもあります。例えば江戸時代のべっ甲製と昭和期のセルロイド製の髪飾りは、見た目は似ていても素材が大きく異なります。素材が違えば、適切な保管の仕方も変わるため、時にはX線や赤外線などの技術を用いて分析し、素材を正確に特定する必要があるのです。
時代と共に変わる素材
明治以降の近代化に伴い、歴史資料の素材は金属や紙、木、土といった天然物に加え、合成樹脂や合成顔料といった人工的なものも増えていきました。例えばセルロイドは大正から昭和初期に普及した人工プラスチックで、硬質で柔軟性が高い一方、非常に燃えやすい特性があります。一時期は日本の工業製品の主流を占め、映画や写真フィルムの基材に使われていた時代もあります。
戦前のフィルムは、今でも発見されます。貴重な映像や写真をデジタル化することはもちろんですが、フィルムそのものを残すことは、それ以上に重要です。価値を後世まで保ち続けるには、素材の特性に加え、素材変遷や修理のされ方など、歴史的な視点を持つことが不可欠です。
文化財は地域にあってこそ
文化財は、それが発見された地域にあり続けることにも意義があります。ただ、国立の博物館などであれば温度や湿度を調整する専用の設備や保存のノウハウがありますが、財源や設備に限りがある地方で同じ条件は望めないため、現場に合わせた工夫が必要です。
例えば空調を備えた専用設備がない場合は、市販の防湿庫に保存するといった方法も有効です。また、セルロイドは劣化すると酸性ガスを出すことがあるため、紙や金属製の資料は別のスペースに保管することで劣化を免れることができます。このように、地域で連携しながら、実現可能なレベルでより良い保管方法を考えることも、歴史資料を守ることにつながるのです。
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