講義No.16244 看護学

リンパ浮腫の予防と治療に看護の視点で挑む

リンパ浮腫の予防と治療に看護の視点で挑む

3人に1人が発症するリンパ浮腫

「リンパ浮腫」という病気を知っていますか? 乳がんや婦人科がんの手術、放射線治療によりリンパ管が損傷し、手足にリンパ液がたまってむくんだり、ひどい場合には象の皮膚のようになる病気です。いわゆる手術後の後遺症の一つで、生涯発症率は30%以上と決して珍しい病気ではありません。治療には硬いストッキングや、リンパドレナージと呼ばれるマッサージが用いられますが、その治療を施しても効果の出ない患者が一定数います。
なぜ同じ治療をしても効く人と効かない人がいるのでしょうか。その謎を解き明かし、より多くの患者のQOL(Quality of Life=生活の質)を向上させる研究が進められています。

肥満の理由など患者の生活背景を丁寧に分析

肥満がリンパ浮腫のリスク要因であることは、以前から知られていました。しかし看護師の目線で丁寧に生活背景をヒアリングすることで、要因が肥満そのものではなく、急激な体重増加だということがわかりました。さらに、乳がんの手術後に行われるホルモン療法の一部に食欲増進作用があり、体重の増加を招きやすいことも明らかになりました。これらの研究成果は、看護師による患者への生活指導で活用されています。

難治性のリンパ浮腫の新たなアプローチ

リンパ浮腫は術後すぐに発症するとは限りません。20年以上たってから突然発症するケースもあり、発見が遅れて難治性になることもあります。標準的な治療を受けても改善しない難治性のリンパ浮腫に対しては、新たなアプローチが研究されています。通常のリンパドレナージは、体内の損傷していない主要なリンパ路(通り道)を使ってリンパ(液)を誘導しますが、難治性の患者はそのリンパ路がうまく機能していない可能性があります。そこで、患者の画像データを活用し、どこが渋滞しているのかどこに回避させたらよいのかを可視化する調査が進められています。

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先生情報 / 大学情報

大阪医科薬科大学 看護学部 看護学科 教授 寺口 佐與子 先生

大阪医科薬科大学 看護学部 看護学科 教授 寺口 佐與子 先生

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臨床看護学、急性期成人看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

看護師として循環器内科をはじめ、さまざまな現場を経験してきました。看護の道に向いているのは、人や生活、健康に関心を持ち、「なぜだろう」と考え続けられる人だと思います。この道をめざすなら、日常の中で周りの人の行動や体の変化に目を向け、その背景を探る習慣を身に付けてください。看護師や保健師、助産師などの専門職は一生ものの資格で、ずっと働くことができ、自分自身を豊かにしてくれる仕事です。どんな仕事でもチームワーク、人と協働できる力を大切にしてください。

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