恐怖心や気味悪さはどう影響する? 事故物件の経済学

「気味悪さ」の影響を測る
過去に事故や病気などで人が亡くなった不動産は「事故物件」と呼ばれます。欧米では人が亡くなった部屋でもさほど気にしない人が多いのですが、日本には古くから怪談文化があり、また死を「穢(けが)れ」とする価値観があるなど、日本特有の文化的、宗教的背景により、事故物件は敬遠される傾向にあると考えられます。
では、物件を探す人が感じる忌避感や気味悪さは、不動産市場にどれほどの影響を与えているのでしょうか。
データが示す意外な事実
住宅価格や家賃のデータと、事故物件情報サイトのデータを組み合わせて分析したところ、ある分譲マンションで死亡事故が発生すると、同じ建物内のほかの部屋の売買価格は約5%低下し、その影響は5年以上継続したことがわかりました。ところが、賃貸マンションの家賃にはほとんど変化が見られませんでした。事故発生後に、同じ賃貸マンションから一定の退居者が出るのですが、すぐに新しい入居者が入っていることもわかりました。
これには、購入か賃借かによって情報収集の仕方が違うという背景があるようです。家は人生で一番高い買い物であり、長く住むことを考えれば、周辺環境は入念に調べたいものです。一方、賃貸物件なら何かあればすぐに引っ越せばいいので、下調べも手薄になりやすいのでしょう。
データから人の判断を分析する
このように、データから意外な事実が見えることがあります。データの理由を考え、背景を探ることで、人々が何を考え、どのような判断をしているかが浮かび上がってきます。経済学とは人の意思決定を解き明かす学問です。社会は、人々の意思決定の結果の積み重ねによって形づくられているのです。人は何を考え、それが社会にどう影響しているのか、経済学ではそのような問いに理論やデータを使って紐解いていく学問なのです。
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先生情報 / 大学情報

成城大学 経済学部 経済学科 准教授 定行 泰甫 先生
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