「田舎には何もない」は本当? 人口減少時代の地域創生を考える

人口を増やす政策はもう無理?
地方では約60年前から人口減少が続いています。近年はその速度が増し、地域経済、地域社会の存続が厳しくなっています。こうした人口問題に対し、国や自治体は地域の人口を増やすモデルの政策を打ち出してきました。しかし、日本全体で人口減少が進んでいる今、増加に転じるのは困難です。今後求められるのは、少ない人口でも安定して暮らし、経済活動をするのに困らない地域をつくることです。
不便さは問題じゃない!?
山形県西川町の大井沢地区は、月山という山の麓にある人口177人の小さな集落です。町の中心部まで車で約30分という不便な環境ですが、住民の約3分の1は移住者で、陶芸家や和紙職人などの職人やアーティストが集まっています。地区が積極的に移住者を募集しているわけではなく、自然と集まってきた人たちです。地区内の博物館にものづくり工房があり、そこで作業ができるという実利的な理由もありますが、「『田舎の中の田舎』という環境がクリエイティビティを刺激する」と移住者は言います。
北海道東川町は鉄道も国道も上下水道もなく、インフラが十分に整っていない町でありながら、人口が増えています。成功のカギは、町が「東川町を『写真の町』にしよう」とまちづくりやイベントを考え、若者を引きつけたことと、「家具の町」としてもPRし、ブランディングを図ったことにあります。町の積極的な取り組みが人を呼び、訪れた人は町の魅力に引かれて移住する流れが生まれました。旭川空港から近い立地が「二地域居住」に向いていることも要因になっています。
外からの目で魅力を発見!
「ここには何もない」。地方でよく聞く言葉です。しかし、外から訪れた人の目には、地域の人にとってありふれたものが新鮮な魅力として映ることがあります。こうした外からの気づきも取り入れながら地域の個性を見つめ直すことが大切です。人々が愛着と誇りを持ち、「いい町だ」と思える場所をつくることが、地域住民の意識を前向きに変え、地域を存続させる力となります。
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成城大学 社会イノベーション学部 政策イノベーション学科 教授 山本 匡毅 先生
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