スポーツ選手のけがを科学的に防ぐ「アスレティックトレーナー」

けがに共通するメカニズム
サッカーで足首をひねる、バスケットボールで膝を痛める、といったけがの経験者は少なくないでしょう。突発的に起こるように見えるこれらのけがですが、それぞれのけがの発生メカニズムが明らかになっています。
さまざまな競技におけるけがを調査すると、約6割が下肢に集中していることがわかりました。方向転換の多いサッカーやバスケットボール、ジャンプの着地が多いバレーや体操競技などは、特に膝や足首を痛めやすい傾向があります。特に足首の捻挫の再発率は約50%と言われ、2人に1人が繰り返してしまうのが現実です。
リスクを避ける体の使い方は
治療が長引きやすい膝の前十字靭帯(じんたい)損傷を減らそうと、特に1990年代から2000年代にかけて予防研究が盛んに行われてきました。このけがは、ジャンプからの着地や急激な方向転換の際に、膝が内側に入った状態になると発生しやすいことがわかっています。こうしたリスクを防ぐには、けがをしにくい体の使い方を身につけることが重要です。
予防トレーニングは決して難しいものではありません。膝のけがとあまり関係ないように思うかもしれませんが、サイドブリッジのような体幹トレーニングも、予防法の一つです。競技の練習時間を削らずに取り組めるよう研究が重ねられ、今ではウォーミングアップの中で実践できる形へと洗練されてきました。
競技の動きに合わせて知識を生かす
こうした研究成果を、実際の競技現場へ橋渡しする存在がアスレティックトレーナーです。選手に寄り添いながら、けがを防ぎ、より良いコンディションで競技に取り組めるように支える重要な役割を担っています。スポーツ科学の進歩に伴い、競技ごとの動きや選手の状態に合わせて知識を現場で生かす力が求められています。
近年は国内のプロスポーツチームが増え、アスレティックトレーナーが活躍できる場も広がってきました。スポーツ障害の予防研究は、体の仕組みを解き明かすだけでなく、選手を支える実践へつながっています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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