「体内時計」の正体は? リズムを刻むタンパク質の謎に迫る

さまざまな生物に体内時計がある
私たちは朝に目覚めて活動し、夜になると眠ります。24時間周期で睡眠や体温などを調整する体のリズムは「体内時計」と呼ばれます。昆虫や植物、微生物などさまざまな生物にも体内時計があります。
光合成を行う細菌のシアノバクテリアの研究では、体内時計に関係する3つのタンパク質(KaiA、KaiB、KaiC)が見つかりました。この3つのKaiタンパク質をATP(アデノシン三リン酸)と混ぜるだけで、試験管の中で24時間のリズムが再現されます。
リズムを生む3つのタンパク質
Kaiタンパク質は、24時間周期で集まったり離れたり、リン酸基を付けたり離したり、運動を繰り返します。KaiCはATP分解酵素としても働きますが、その反応は驚くほどゆっくりです。1日に分解するATPの数はわずか12個で、KaiCは「わざと」ゆっくりATPを分解します。この反応がペースメーカーとなり、3種類のタンパク質の集合と離散といったサイクルが生み出されているのです。またKaiCのアミノ酸配列を少し変えると、リズムの周期が12時間や48時間になります。KaiCの構造が24時間というリズムを決めているのがわかります。
体内時計は22億年前から?
生物はいつ体内時計を獲得したのかを調べるために、現存する生物のタンパク質の情報を集め、進化系統樹を手掛かりに、祖先となる生物のタンパク質配列を推定しました。推定したタンパク質を合成し、動きのリズムを観察します。すると、22億年前からのタンパク質は、一定周期で集まったり離れたりする動きを見せ、また22億年前のタンパク質の周期は、その頃の地球の自転周期であるおよそ20時間だったこともわかりました。Kaiタンパク質は微生物にしかなく、ほかの生物の体内時計は別のメカニズムで制御されています。現在は、人を含む哺乳類で、どのようなタンパク質が体内時計として機能しているのかを明らかにする研究が進められています。
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