高温に強くする遺伝子はコレだ! 酷暑に立ち向かうイネ育種研究

高温に強いイネをつくる、Apq1遺伝子の発見
地球温暖化により夏の気温が高くなったことで農業に大きな影響が出ています。イネの栽培において、穂が出て受粉し、コメが成熟する時期のことを登熟期と言いますが、この時期に高温にさらされると未熟なコメになり、収穫量と品質が下がってしまいます。北陸や東北地方では登熟期に当たる8月以降が比較的涼しいため稲作が盛んですが、近年、その時期の気温が上がりコメ生産が難しくなっています。
そこで、高温に強く、安定して生産できるイネをつくるための育種研究が行われています。
研究では、インディカ米をルーツに持つ「ハバタキ」という品種から、登熟期に高温にさらされても質の高いコメを実らせることができるApq1遺伝子が見つかりました。このハバタキ由来のApq1遺伝子を交配により「コシヒカリ」に導入すると、コシヒカリのコメの品質を著しく向上させることができます。
デンプン合成が活性化すると高温に強くなる
また研究を進める中で、このApq1はお米のデンプンをつくる働きがあることが分かりました。登熟期に気温が高いと、デンプンがうまく結晶化できず、隙間ができることで、白く濁った質の悪い米になってしまいます。ハバタキ由来のApq1を持っていると、高温条件でむしろデンプン合成が活性化することが判明しました。この遺伝子を活用して、富山県で「富富富(ふふふ)」という品種が育成されました。富富富は現在日本で最も高温に強い部類の品種となっています。
デンプン合成を強化し、高温耐性イネを育成する
高温に強くなるApq1遺伝子が、デンプン合成を活性化していたことから、デンプン合成を強化することができれば地球温暖化に対応したイネがつくれるはずです。今後は、デンプン合成能力が高い品種や、変異体を活用するなど、さまざまな方法でデンプン合成活性を高め、将来のさらなる高温に対処できるイネの育成が検討されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

福井県立大学 生物資源学部 創造農学科 教授 三浦 孝太郎 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
植物育種学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
![選択:[SDGsアイコン目標13]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-13-active.png )