がん細胞の動きを見逃さない! 放射線医学が命を守る

臓器の機能を診る核医学
CTやMRIは、臓器の「形」を画像化する検査です。しかし、がんや神経疾患の中には、形が変わる前から機能が低下しているケースが少なくなく、例えば腎臓や肝臓は、機能がかなり失われても外見上の形はほとんど変わりません。そこで活躍するのが「核医学」という分野です。微量の放射性物質を含む薬(放射性医薬品)を体内に投与し、臓器や組織がどのように働いているかを画像としてとらえます。形の異常が現れる前でも、機能の変化を「可視化」することが核医学の最大の特徴です。
がんの転移を一度にとらえる
がん細胞は正常な細胞に比べ、エネルギー源であるブドウ糖を大量に消費します。この性質を利用するのがFDG-PET検査です。放射性のブドウ糖(FDG)を体内に投与すると、ブドウ糖は代謝の活発ながん細胞に集中するため、全身のがんや転移巣を一度にとらえることができます。CTでは見逃しやすい小さなリンパ節転移も発見しやすく、治療方針を決める上での大事な検査となっています。
社会を支える放射線
放射線は医療に欠かせない存在である一方で、性質への誤解や不安も根強く残っています。私たちは日常的に、宇宙線や食品、建物のコンクリートなどから自然放射線を受けています。東日本大震災の際には、放射線への誤解が風評被害を生み、多くの人が苦しめられました。放射線は量によって体への影響が異なり、一定量以下の被ばくについては影響の有無が科学的に確定していない部分もあります。
例えば、風邪薬も大量に飲めば有害ですが、用量を守れば安全です。放射線についても、正確な知識を持つことが重要です。放射線医学は、診断技術の研究・開発を担う分野であり、がんの診断にとどまらず、犯罪捜査に使われる法医画像診断などの社会的領域にも広がっています。放射線は、恐れるものでも無視するものでもなく、医療と社会の両面を支える存在でもあると、正しく理解することが必要なのです。
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先生情報 / 大学情報

国際医療福祉大学 保健医療学部 放射線・情報科学科 教授 細貝 良行 先生
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核医学技術学、放射線計測学、画像工学先生が目指すSDGs
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