原因不明の肩や腰の痛み 「慢性疼痛」を防ぐには

痛みは2種類ある
痛みには、急性痛と慢性疼痛(とうつう)の2種類があります。一般的な痛みは急性痛で、けがや病気など原因が明確なため、治療して痛みを取り去ることができます。対して、慢性疼痛は原因が不明確です。体に異常がないことから「気の持ちよう」とされてきた時代もありましたが、2000年代のアメリカで、けがや病気がなくとも痛みを感じる病態があるのではないかという考え方が生まれました。日本で慢性疼痛が医師用のテキストに掲載されるようになったのは、ここ10年くらいのことであり、比較的新しい考え方なのです。
痛みと脳のメカニズム
腰痛の経験者と非経験者に対し、中腰で荷物を持っている写真を見せて、脳神経の働きを測った実験があります。経験者の脳神経は痛みを感じたときのような働きを見せました。また、中腰で荷物を持っている写真と直立姿勢の写真を並べて1秒間見せたところ、経験者は無意識に中腰写真に視線がいくという違いも出ました。
「痛い」と判断しているのは脳だということを、この実験は示しています。慢性疼痛に悩む人は、無意識に痛みを感じる情報を拾い、それが痛みにつながっている可能性があります。目には見えない痛みを脳神経や視線の動きで可視化し、痛みの特徴を抽出すれば、慢性疼痛を改善する道が見つかると考えられます。
リハビリテーションの考え方
慢性疼痛の場合は、無理のない範囲で日常生活を過ごし、体を動かすことが回復につながるというのが現在のリハビリテーションの標準的な考えです。慢性疼痛の人は、安静にし続けることでかえって身体機能を低下させてしまう恐れがあります。
また、慢性疼痛は一度なってしまうと治すことが難しいため、予防のために日常的に体を動かすことも大切です。肩こりや腰痛といった慢性疼痛は、仕事のパフォーマンス低下の要因にもなっています。痛みを正しく知り、予防のために運動習慣を身に付けてもらうことは、経済成長にもつながる大切なことなのです。
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