ワカメも光に向かって伸びる 海藻から植物共通の仕組みを考える

ワカメには大型と小型の体がある
日本人の食卓になじみが深いワカメやコンブ、ヒジキといった茶色い海藻は「褐藻(かっそう)」と呼ばれ、陸上植物とはかなり遠縁の生き物です。ワカメは1年のうちに、2倍体で大型の胞子体と、半数体で小型の配偶体という2つの世代が交代します。胞子体から放出された胞子が海底や岩に付着すると、発芽してオスとメスの配偶体になり、それぞれが精子と卵を作ります。精子と卵が受精し、発芽して成長したものが、私たちが食べている胞子体のワカメです。
光屈性に関わるタンパク質
ヒマワリが光の方向へ伸びるように、陸上植物には光へ向かう「光屈性」があります。それには青色の光を感知するフォトトロピンというタンパク質が関わっています。水中で揺れる藻類にも、同じように光屈性があります。小さなワカメの配偶体は、より効率よく光合成できるように、光に向かって枝を伸ばすのです。しかし、ゲノム解析によって、ワカメはフォトトロピン遺伝子を持たないことがわかっています。また、同じ褐藻でもコンブは光屈性を示しません。現在、さまざまな褐藻を対象に、光屈性に関わるタンパク質の研究が進められています。
陸上植物と褐藻を見比べると
陸上植物の細胞内では、光の方向に葉緑体が位置を変える「葉緑体光定位運動」が起きます。フォトトロピンが光を感知し、別のタンパク質がその信号を仲介し、細胞骨格分子であるアクチンフィラメントが葉緑体を動かします。ワカメでも同様に葉緑体の移動が観察されています。ワカメにアクチンフィラメントはありますが、フォトトロピンがありませんので、ワカメでは陸上植物とは別の仕組みで葉緑体運動が起きているはずです。
このように、別々の進化を遂げた陸上植物と褐藻の両方で、似た現象が見つかってきました。その結果、分子レベルの仕組みの研究も徐々に進んでいます。褐藻の分子機構が明らかになれば、植物に共通する仕組みが見えてくるかもしれません。
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