海から未来のエネルギーへ 海藻×微生物バイオで温暖化対策に貢献

海から未来のエネルギーへ 海藻×微生物バイオで温暖化対策に貢献

新たなフロンティアとしての海洋

バイオテクノロジーやバイオマス(生物由来の再生可能資源)を社会の基盤として活用する経済・社会システムは「バイオエコノミー」と呼ばれ、持続可能な循環型社会のモデルとして研究が進められています。現在、地球規模で深刻化している気候変動に対し、世界ではさまざまな対策が行われています。近年注目されているのが「海の利用」です。広大な海は、地球上で最も多くCO₂を吸収する場所であり、膨大な量のCO₂が溶け込んでいます。さらに昆布などの大型海藻類は、陸上植物以上のCO₂固定能力を持つとされ、光合成によってCO₂を糖などの有機物として固定しています。

生物のしくみを循環型社会に活用

生物のしくみは、約40億年という長い進化の歴史の中で高度に形成され、多様で有用な機能を生み出してきました。近年ではテクノロジーの発展により、こうした生命現象を詳しく調べられるようになってきました。現在では、細胞内の特定の分子だけでなく、あらゆる生体分子を定量的に解析することも可能になっています。こうしたデータを活用し、生物に新たな有用機能を付与して社会で広く利用できるようになれば、バイオエコノミーの実現につながると期待されています。

海藻による循環型バイオ技術が登場

脱炭素社会の実現に向けて、石油だけに頼らない新しい燃料調達方法に注目が集まっています。地球温暖化対策という重要な課題に対し、生物の力を活用することで、どのようなことが可能になるのでしょうか。
例えば、より多くのCO₂を吸収できるよう大型海藻を大規模に養殖し、育った海藻をバイオエタノールに変換する循環型技術が日本で開発されつつあります。この技術を実現するためには、海藻特有の糖成分を分解してエタノールに変換するという技術的な課題を克服しなければなりません。現在は、発酵によってエタノールを作る能力に優れた微生物(酵母)を土台に、さまざまな生物の有用機能を組み合わせることで、微生物の潜在能力をさらに引き出し、実現へと近づいています。

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京都工芸繊維大学 工芸科学部 応用化学課程 教授 黒田 浩一 先生

京都工芸繊維大学 工芸科学部 応用化学課程 教授 黒田 浩一 先生

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生化学、遺伝子工学、分子生物学

先生が目指すSDGs

メッセージ

研究の楽しさは、世界でまだ誰も解明していないことを目の前で明らかにしたり、自分が最初の発見者になる瞬間を体験できたりすることではないでしょうか。もし、その成果が社会で活用されれば、大きな影響を与えるかもしれないと、ワクワクします。研究とは知的な冒険なのです。自分だからこそ着目できる、他の人が思いつかないようなアイデアを生み出すためには、自分自身の経験の幅を広げることがとても大切だと思います。ですから、私のモットーは「迷ったらGO!」です。とにかく色々なことに挑戦してみてください。

京都工芸繊維大学に関心を持ったあなたは

歴史都市京都にあって、本学は、伝統文化や伝統産業との深い結びつきを背景に、工芸学と繊維学にかかわる幅広い分野で常に先端科学の学理を探求し、「人に優しい実学」 を志向する教育研究によって、広く産業界や社会に貢献してきました。さらに、本学は、長い歴史の中で培った学問的蓄積の上に、感性を重視した人間性の涵養、自然環境との共生、芸術的創造性との協働などを特に意識した「新しい実学」を開拓し、伝統と先端が織りなす文化を創出する「感性豊かな国際的工科大学」を目指します。