世帯ごとに物価高の影響を分析 経済の「ものさし」を考える研究

消費者物価指数の限界
消費者が購入する商品の価格が、基準にしている年と比べ、どの程度変化したかを示すのが「消費者物価指数」です。ただし、すべての世帯が同じ商品を同じ出費割合で購入しているわけではありません。高齢者世帯、子育て世帯など、世帯が変われば支出構造にも違いが生じます。そのため、平均の物価指数だけでは、実際に感じる物価高の負担を十分に捉えきれない場合があります。
世帯ごとの消費パターンを分析
福井県の家計データを基に、消費者物価指数と同じ「ラスパイレス指数」を用いて、世帯属性別の物価指数を推計する研究がなされました。福井県は三世代同居や持ち家率が高い地域として知られており、地域特有の暮らし方が物価の影響にも関係していると考えられます。
分析の結果、高齢者世帯ほど物価高の影響を受けやすい傾向が明らかになりました。世帯主の年齢が高いほど、平均的な物価指数との差が大きくなることが示されたのです。背景には、高齢者世帯では食料品や光熱費の支出割合が大きいことがあります。近年は米や電気代などの価格上昇が大きいため、影響を受けやすくなっているのです。さらに、高齢者世帯では若年世帯よりも数カ月早く物価上昇の影響が現れる傾向も確認されました。一方、若年の子育て世帯は、教育費無償化など家計を支援する政策によって、物価高の影響が比較的小さい可能性があることが推測されます。
自治体の物価高対策に
政府が示す消費者物価指数は社会全体の平均を示しますが、研究では福井県の世帯別の「ものさし」で測り直すことで、高齢者世帯と若年世帯で異なる影響が生じていることが明らかになりました。こうした分析は、自治体が物価高対策を検討する際の判断材料になります。今後、他地域の分析が進めば、福井県で見られた傾向が地域特有なのか、全国的な傾向なのかも検証できます。経済学はお金の動きだけでなく、ひとびとの暮らしの変化をデータから読み解く学問でもあるのです。
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