製造技術からデザインを生み出す アパレル産業の商品開発を探る

製造技術は制約だった?
一般的な製品開発では、まずデザイン案が考えられ、その後に「実際に製造できるのか」が検討されます。どれだけ魅力的なデザインでも、量産できなければ商品にはなりません。そのため製造技術は、「デザインを実現するための制約」とみなされがちでした。一方で近年は、製造技術そのものが新しいデザインを生み出す可能性が注目されています。例えばアパレル産業では、新しい染色や加工の技術によって、それまで実現できなかった色や模様、質感の表現が可能になります。つまり製造技術が先に存在することで、新しいデザインが生まれる場合があるのです。
技術を「見せる」工夫
アパレル産業の事例として、特殊なプリーツ加工技術を持つある企業の取り組みを紹介します。この企業では異なる性質の糸を組み合わせた生地に加工を施すことで、斜め方向に独特なプリーツ模様を生み出す技術を開発していました。しかしこの技術は複雑で、口頭で説明するだけでは、社外のデザイナーに特徴がうまく伝わりませんでした。
そこで注力したのが、技術を可視化する工夫でした。試作品を用意したり、加工方法を視覚的に示したりすることで、技術の特徴や可能性をデザイナーらと共有していったのです。さらに、企業自身が加工技術を用いてデザインも行い、自社ブランドを立ち上げました。これは単に商品を売るだけでなく、「どのような技術を持つ会社なのか」を広く知ってもらう効果がありました。自社ブランドが、製造技術の魅力を発信する手段としても機能したのです。
技術とデザインをどう結びつけるか
優れた製造技術があっても、それだけで魅力的な商品が出来上がるわけではありません。技術の特徴や可能性を伝え、デザインやブランドに結びつけることが重要になります。製造技術とデザインの関係を探る研究は、日本のものづくりの新たな競争力につながる可能性を秘めています。高い技術力をどのように商品の価値に転換していくかが問われているのです。
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共立女子大学 ビジネス学部 ビジネス学科 講師 花原 仙珠 先生
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