海流の変化が魚の生存を左右する? 海洋研究で漁業を支える

海流の変化が魚の生存を左右する? 海洋研究で漁業を支える

海面の高低差で海流が生まれる

海には海面が高いところと低いところがあり、海流が生じます。貿易風や偏西風といった風が地球の自転の影響を受けて海の水を集め、海面の高さを変えているからです。これにより、日本の南部は北部に比べて海面が高くなっています。
対馬海峡と津軽海峡で太平洋につながる日本海では、海面の高い東シナ海から海水が対馬海峡を通って流れ込み、海面の低い津軽海峡へと抜ける流れができています。これが「対馬暖流」です。若狭湾沖で渦が発生すると、その影響で対馬暖流が沖合にずれることがあります。この渦は5年程度持続することもありますが、その発生や終息の仕組みについては、まだよくわかっていません。

日本海の渦でズワイガニが増える

日本海の水産資源は、対馬暖流の流れの変化に大きな影響を受けます。魚やカニの子どもは泳ぐ力が弱いため、海水に流されてしまうからです。
例えば、水深200~500mの海底で暮らすズワイガニの一生を見てみましょう。ズワイガニは島根県の隠岐の島周辺で卵を産みます。卵からかえった幼生は海面をぷかぷかと漂い、その後成長するに従って海底に下りていき、大人のカニになります。幼生が対馬暖流に乗って遠く東の方まで流されてしまうと、隠岐の島あたりに戻ることができません。しかし、若狭湾沖に渦が発生すると、幼生は渦の中に取り込まれて海底へ沈んでいき、故郷に帰って成長します。ズワイガニにとっては、渦の存在が生存に有利に働くのです。

渦はマアジの不漁を招くかもしれない

マアジが暮らすのは、水深200mほどの暖かく浅い場所です。若狭湾沖に渦が生じて対馬暖流が少し沖合の方にずれると、マアジの子どもがこの対馬暖流によって沖に流されてしまいます。マアジは沖合の深い海では生きられないので、渦の存在は生存に不利となり、不漁にもつながるかもしれません。ほかにも、海で突然発生する強い流れ(急潮)で、定置網が壊れることもあります。漁業被害を最小限にするため、海の変化を予測する研究が必要とされているのです。

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福井県立大学 海洋生物資源学部 海洋生物資源学科 准教授 井桁 庸介 先生

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