かすかなにおいで病気を察知! 化学物質の分析技術が活躍

乳がんを飼い犬が発見?
ある女性は犬を飼っていました。女性が犬と戯れていると、犬はそれまでにない異常な行動を示しました。後から検査を受けたところ、女性が乳がんに侵されていることがわかったのです。犬は飼い主の体の異変を感じていたと考えられます。では、どうやって感じ取ったのでしょうか?
それは、においです。実は、乳がん患者は、かすかにタマネギに似た特有のにおいを持っていることがわかっています。がん以外でも、同じように肝臓や腎臓の病気にも特有のにおいがあると言われています。また精神疾患の患者は、神経伝達物質の影響で硫黄のようなにおいを持つことが知られています。
プールに混じった1滴を検出
人体の皮膚や口から出ているわずかなにおいの成分、つまり化学物質を分析するのに役立っている技術が「SPME(固相マイクロ抽出)」です。特殊加工した繊維を付けた器具に試料を吸着・脱着させ、試料を平衡状態にする技術で、1ミリリットルの中に入った10億分の1グラムの成分、つまり学校の25mプールに混じったわずか1滴の成分を測定できるのです。以前は微量の試料を分析するには、有害な有機溶媒などを使って濃縮することが必要でした。しかし、このSPMEによって環境に負荷を掛けず、繰り返し何度も使用でき、より安価に化学物質が分析できるようになりました。
においの分析が医療、美容に役立つ
人間の体は、いろいろな有機化合物からできていて、目には見えませんが、「におい」という化学物質を皮膚などから放出しています。かすかなにおいでも感知できれば、病気の診断や予防、健康状態を知るのに役立てることができます。また病気ではなくても、口臭や体臭に悩んでいる人も数多くいます。においがどのくらい強いのかを数値化すれば、本人の悩みを解決する助けになります。さらに進んで、においの成分を分解する研究に発展させれば、衛生・美容・環境などの幅広い分野に貢献できるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
