人工の雷でキノコ栽培、食品保存 電気エネルギーが産業を変える!

雷が落ちると豊作になる?
雷の光を「稲妻」と言います。古代日本人は雷が多い年は米が豊作になると知っており、雷は稲のパートナー(妻)だと考えたことが語源です。現代科学では、雷の電気で空気中の窒素が化学反応を起こし、水に溶けやすい物質に変わって、田んぼの栄養になることがわかっています。また、雷が落ちた木の周りにはキノコが多く生えることも知られています。電気が木や土壌に潜む菌糸を傷付けることでキノコが生えるためです。
この雷と同じ現象を人工的に起こし、農産物の生産や輸送、廃棄などのプロセスに生かす研究が進められており、農業や食品産業を大きく変えています。
高電圧パルスの多様な効果
雷とは、雲の中に発生した静電気が一瞬で放電する現象です。電気の通り道になった空気中の気体の分子が、イオンと電子に分離したプラズマの状態になり、光るのが稲妻です。
この現象を人工的に起こすため、電気エネルギーを制御する装置が開発されています。高圧電流を一瞬で放電させる「高電圧パルス」を、キノコの菌を植え付けた木や水耕栽培の水に当てることで、植物の成長を促進する技術も生まれました。高圧パルスは、土壌中の病害菌の抑制や、廃棄作物の堆肥化促進にも役立っています。
長期輸送、省エネに役立つ技術
電気エネルギーは、収穫後の作物の長期保存にも活用されています。例えば、保管庫の空気中に漂うカビ胞子を静電気で吸着してカビを抑えたり、高電圧パルスを輸送コンテナ内に一瞬発生させ、熟しすぎの原因となる果物のエチレンガスを分解したりできます。鮮度を保った長期輸送、輸出が可能になり、加えて高圧パルスの発生は一瞬なので、省エネかつ熱が発生しないメリットもあります。
このように、電気エネルギーの形や出力を変える制御技術が、作物の生産から輸送、廃棄までのフードサプライチェーンを支えています。食品だけでなく、金属などの加工にも高電圧パルス、プラズマ、静電気が使われており、社会になくてはならない技術です。
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