科学の言説にも男性中心の偏りが? 女性科学者が活躍する意味

科学の言説にも男性中心の偏りが? 女性科学者が活躍する意味

社会の知識はマジョリティ目線

「科学哲学」とは、科学のあり方や知識の成り立ちを哲学的に探究する学問です。一般的に、科学的知識は客観的なもので、誰が研究しても同じ結果が出ると思われがちです。しかし、私たちの社会の価値観や知識の多くは、歴史的にマジョリティの目線でつくられてきました。そのため、そこには女性などのマイノリティに対する偏見が、無意識のうちに含まれていることがあります。もともと男性中心だった哲学や科学の分野に、少数派の女性らが加わることで、見落とされてきた新しい研究対象やテーマが発見されてきました。近年は、ジェンダーと科学の関係に注目した研究が進められています。

女性科学者が問題提起

生物学において卵子と精子を説明する際、かつては人間社会の男女観が投影された描写がなされました。当時は精子が主導権を握るもの、卵子は受け身なものとして語られていたのです。現在では卵子にも受精に向けた能動的なメカニズムがあることが明らかになっています。
また、社会科学における「家事労働」という概念も、女性研究者たちによって提示されました。労働には賃金という金銭的対価が支払われますが、女性が家庭内で行う労働は無償で行われてきました。今でこそ家事労働を金銭に換算する考え方は一般的になりましたが、これは1960~70年代に女性の社会科学者たちが問題提起したことで、初めて概念として社会に定着したのです。

危ういAIの答え

AIは、私たちの生活に急速に浸透してきています。多くの人は、AIが客観的で公平な情報を提示していると思っているでしょう。しかし実際には、男尊女卑などの偏見を含んだ出力がなされるケースがあります。AIは、人間がこれまでに書き残してきた膨大な言葉を学習して文章を生成しているため、社会に潜む偏見や差別がダイレクトに反映されてしまうのです。AIの利便性を信頼し、頼りにする人が増えている今だからこそ、その言葉をうのみにすることの危うさを自覚する必要があります。

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岩手大学 人文社会科学部 人間文化課程 准教授 二瓶 真理子 先生

岩手大学 人文社会科学部 人間文化課程 准教授 二瓶 真理子 先生

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哲学、倫理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校時代の夢は科学者でした。自分が哲学の研究者になるとはまったく予想していませんでしたが、人生にはさまざまなキャリアの重ね方があり、科学との関わり方も多様であると、いまでは感じています。大学で学ぶ良さは、たくさんの知識に触れる中で、自分の興味のあるテーマについて異なる見方を発見できる点にあります。自分の関心や視野が広がっていくことを、どうか恐れないでください。大学に入ると、たくさんの可能性が広がります。自分の関心に耳を傾けながら、一歩ずつコツコツと頑張ってほしいです。

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