30階建てのビルも建つ! 木材接合法が開く木造建築の可能性

30階建てのビルも建つ! 木材接合法が開く木造建築の可能性

木造建築の魅力

大阪・関西万博のシンボルだった「大屋根リング」は、木造建築の美しさをあらためて世界に伝えました。また、世界最大の木造建築物としてギネス世界記録に認定されています。大屋根リングで使われた木材をリサイクルする準備も進んでいます。
有機物である木材は人との相性がよく、癒やしや安心感にもつながる素材です。鉄やコンクリートを用いると、膨大なエネルギーを消費して二酸化炭素を放出します。一方で、樹木は大気中の二酸化炭素を体内に固定してくれます。つまり木材で建物を造ることは、二酸化炭素の削減にも貢献するのです。

要となる木材接合法

木造建築では、木材と木材をしっかりと接合させる必要があります。これまでに、さまざまな木材接合方法が考えられてきました。その一つが、ボルトと接着剤で木材をつなぐGIR(Glued in Rod:鋼棒挿入接着接合)です。さまざまなメーカーがGIR商品を開発し、それぞれ独自の強度試験方法を採ってきました。そのため、メーカー間の比較がしにくいという課題が生じています。そこで、GIR研究会を発足させ、共通マニュアルの作成に向けて各社の意見をすり合わせています。現在、引っ張り試験や建物を再現した状態で揺らす試験など、共通の試験方法を作ろうとしている段階です。

大型木造建築物の誕生

より強く接合できるGIRの開発も進められています。例えば、地震の揺れを吸収するための、新たなボルトの形状を探ることもその一つです。また、熊本地震や能登半島地震などの被災地を調査して、地震が建物にどのような被害をもたらしたのかを把握することも重要です。こうした研究の積み重ねにより、これまで鉄やコンクリートでしか造れなかった大きな建物が木造で建てられるようになってきました。横浜にある11階建ての木造ビルや、大分県のクラサス武道スポーツセンターなどです。地震の少ないオーストラリアでは、30階建ての木造ビルの建築が始まっています。木造建築の未来は大きく変わりつつあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

大分大学 理工学部 建築学プログラム 准教授 田中 圭 先生

大分大学 理工学部 建築学プログラム 准教授 田中 圭 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

建築構造学、木質構造学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学に入るときに「何がしたいかわからない」まま、成績で学部や学科を決めている人もいます。もしあなたがそうなら、大学の4年間でぜひ「何をして生きていくのか」を見つけてください。なぜなら、卒業後に「したい仕事」に就くと人生が充実し、面白くなるからです。幸いなことに、建築にはお寺や神社、大きなビル、月面基地までいろいろな分野があります。就職先も、地元の大工さんやスーパーゼネコンなどさまざまです。建築を学ぶと、きっとあなたの「したい仕事」が見つかると思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大分大学に関心を持ったあなたは

大分大学では学びの習得とともに、豊かな人間力の獲得が求められます。人間力とは総合的な社会人の能力を指し、幅広い学識に加えて強靱な意志と責任感やリーダーシップ、豊かな意思伝達能力、確固たる倫理観などが含まれます。これらは日々の学びに加えて、ゼミやサークルなどにおける友人や教員達との交流により養われると思います。メディアを通し、社会が何を求めているかを敏感にキャッチすることも必要です。また、就職時採用の際に必要なものも人間力です。大学生活の中で、ぜひ人間力を身に付けていただきたいと思います。