文学作品から環境問題を考える

文学作品から環境問題を考える

シュティフターが描いた自然の風景

オーストリアやドイツといった地域は、昔から森を守る、あるいは自然環境を大切にするといった意識が強いところです。19世紀に活躍したオーストリアの小説家、アーダルベルト・シュティフターは、美しく豊かな自然の風景を描いて評価されました。オーストリアの深い森や木々の間を流れる川、高く険しい山々、季節ごとに移り変わる自然の細かい風景の描写と、その大自然の中で必死に生きる人間の姿が、読む人を引きつけます。

文学から人々の自然観を見る

シュティフターの作品の中には、自然には偉大な力があり、たとえ人間がいくら汚そうとも必ずよみがえるといった、畏敬の念がうかがえるくだりがあります。文学などの「作品」には、作者が自然環境をどう受け止め、どのような心情であったかが大きく影響します。人々の自然に対する考え方は、第二次世界大戦を経て、産業汚染や公害問題など、環境危機への警鐘をテーマにした作品に反映されるようになります。例えば、米国人作家ですが、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は有名です。
自然や環境に関する問題は大変複合的であり、文学作品や思想、教育分野からも環境問題を語ることができます。環境問題を学ぶには自然科学分野の視点に立つべきだと限定する必要はありません。文学作品に登場する人物の心情や作家の信念を通じて自然を見て、そこから現代ドイツの脱原発の動きを考えるといったことも、環境問題への一つの関わり方です。

多方面から環境へアプローチ

文学以外の、例えば教育分野から環境問題を見るなら、オーストリアの哲学者、ルドルフ・シュタイナーが20世紀に提唱した「シュタイナー教育」があります。森の中に園庭を作って有機野菜を栽培し、おもちゃは木や石などの自然素材を使い、園の建物には自然界と同様に曲線を多用するなど、自然を通じて子どもの感性を育む教育法です。その根幹には、自然を大切にするという信念があります。教育分野からも、環境に関わることができるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

福井大学 国際地域学部 国際地域学科 教授 磯崎 康太郎 先生

福井大学 国際地域学部 国際地域学科 教授 磯崎 康太郎 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

ヨーロッパ文学、環境人文学

先生が目指すSDGs

メッセージ

世界は政治も経済も不安定なことばかり起こり、それらに対してさまざまな情報や見解も飛び交っています。そして大学に入ると、「正解のない学び」に向き合うことになり、ここに不安定さを感じることもあるでしょう。そんな世界を生きるために、今のあなたができることは世界の出来事にアンテナを張り、視野を広げることです。国の動きやその背景、事情などを見ていくと、おのずと知識が身につきます。知れば見方や考え方が変わります。そうやって日常を新しい目でとらえる力を養ってください。

福井大学に関心を持ったあなたは

福井大学は教育学部、医学部(医学科、看護学科)、工学部、国際地域学部の4学部からなる国立大学です。本学で学んだ学生が生涯にわたって創造力や指導力を発揮できるよう、学びの力となる学問の基礎及び方法の習得をめざします。先端研究に支えられた教育内容と、不断の省察による教育技術によって、学生がそれぞれの個性に目覚め、社会に貢献できる実践的知識と技術を習得して卒業する事を目標とします。実就職率は複数学部を有する国立大学の中で、18年連続ナンバー1の実績を誇ります。(2008-2025年度)