講義No.16475 社会学

「推し」という言葉はなぜこんなに広まったのか

「推し」という言葉はなぜこんなに広まったのか

世間に知られ始めたきっかけ

「推し」という言葉は、1980年代にアイドルファンの間で使われ始めたと言われています。そして2000年代初頭には、「モーニング娘。」のファンの間で、ファン固有の言葉として使われていたことが、当時の雑誌記事から確認されています。
では、なぜこの言葉が現代のファン活動を象徴する言葉になったのでしょうか。そこには「AKB48グループ」の人気の高まりが関わっていると考えられます。ファンの投票で代表メンバーを決める選抜総選挙を行い、運営側も「推し」という言葉を積極的に使い始めたことで、この言葉が世間一般にも広まっていきました。雑誌の記事タイトルを調べてみても、AKB48が全盛期を迎えた2011年ごろから、「推し」という言葉の登場回数が増えています。

「オタク」と何が違う?

「推し」と「オタク」は、実態はほぼ同じでも、言葉が呼び起こすイメージは大きく異なります。オタクはどちらかというとアニメや漫画の二次元ファンを連想させます。一方、「推し」は主にアイドルファンを想起させるのではないでしょうか。
もう一つの重要な違いは、「推し」の方が「オタク」よりポジティブなイメージを持っていることです。イメージが重要なファッション誌において、「推し・推し活」は「オタク」という言葉よりはるかに多く使われており、ポジティブなライフスタイルとして提示されています。「推し」は、「オタク」のネガティブなイメージと決別した「解放の言葉」とも言えるのです。

「推し」という現象から社会を見る

ポジティブなイメージを持つ「推し・推し活」という言葉は、今や消費を誘う言葉にもなっています。このような言葉の普及や、その言葉がもたらした結果を、さまざまなデータや資料を使って解き明かすのが社会学です。社会学では言葉の普及に限らず、社会の動向や人間関係にまつわる幅広い領域が研究対象です。社会現象を解き明かすことは、自分が今生きている社会を知ることであり、自分自身を客観的に理解することにもつながります。

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甲南女子大学 社会学部 総合社会学科 メディア社会学専攻 教授 池田 太臣 先生

甲南女子大学 社会学部 総合社会学科 メディア社会学専攻 教授 池田 太臣 先生

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メディア社会学、文化社会学

メッセージ

自分の好きなことをテーマに、その歴史や社会への影響を探っていくと、思わぬ発見があるものです。社会学は音楽・アニメ・テレビドラマ・SNS・スポーツなど身近なあらゆるものが研究対象になるので、自分の「好き」を大切にして、探究することを楽しんでください。そして「自分の好きはどこからきているのだろう」と、自分と社会を照らし合わせて考えてみると、自分自身のこともより深く理解できるようになります。高校生の間はいろいろなことに関心を持って、その中から「好き」を突き詰めていくのもよいでしょう。

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本学園は、2020年に創立100周年を迎え、長い歴史と伝統を受け継ぎながら、建学の精神「まことの人間をつくる」に基づき、誠実で品位のある女性の育成に努めてまいりました。管理栄養・看護・理学療法・言語・文化・子ども・心理などの専門領域の学習フィールドを備え、7学部9学科と幅広い分野において、社会で発揮できる能力や専門知識が身につく豊かな学びの環境を整えています。神戸の街と空、海を望むキャンパスには、あなたを大きく成長させる学びや出会いがあふれています。