学校が支える子どもの「ケア」ー教師の仕事とジェンダーー

学校が支える子どもの「ケア」
教師の仕事といえば、黒板の前で授業をする、いわゆる「教えること」ですが、子どもたちが学校で安心して過ごすための細やかな配慮、いわゆる「ケアすること」も大切な仕事です。では、教師は「ケアすること」をどのように考えてきたのでしょうか。
20世紀初頭のイギリスでは、学校で過ごす子どもの健康に関心が高まり、学校給食や健康診断が始まりました。当時の学校の教師たちは、教室の中で支援の必要な子どもを見いだすと、地域の福祉団体や医療関係者と連携し、食事の提供や病気の治療について家庭と相談する役割を担うようになりました。しかし「教えること」以外のこうした仕事を負担に感じる教師も少なくありませんでした。
教師とケアージェンダーの立場からー
負担を感じた教師たちは、男女それぞれに社会に対して声を上げました。男性教師は、教師は「教える」専門職であることを訴え、子どものケアに関わる仕事を医療関係者や福祉の専門家に任せようとしました。一方、女性教師は子どもを産み育てる女性の立場から、学校全体で子どものケアを向上させること(例えばケア現場を支える補助スタッフの増員や、保護者向けの衛生指導のガイドブックの発行など)を積極的に訴え、教師の働く環境を良くしようとしました。このような教師の「ケアすること」への態度の違いは、当時のジェンダーの考え方に影響を受けたものでした。
現代における教職とケア
今日ではかつてのようなジェンダーによる「ケア」への意識の差は解消されています。しかし現代の日本においても、教師が子どものケアをどのように担うのかは重要なテーマです。教師の労働時間の在り方や、養護教諭の性別、学校内の他専門職種との連携の仕組みづくりには、未だジェンダーによる課題も隠されています。教師の仕事を考える上で、子どもへのケアの歴史を知り、その問題の根深さに気づくことは大切です。
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