講義No.16488 教育

英語が話せても、すぐにはイギリスの大学に入れない教育の仕組み

英語が話せても、すぐにはイギリスの大学に入れない教育の仕組み

国と国の間にある入学の「段差」とは

どれだけ英語が堪能だったとしても、日本の高校を卒業してイギリスの大学にそのまま入ることはできません。それは、入学年齢や就学期間の長さ、春季入学と秋季入学といった表面的な違いだけが理由ではありません。
日本では6才で小学校に入学し、義務教育は9年間、学校段階は6−3−3制で構成されています。一方で、イギリスでは、初等学校5〜11才、中等学校11〜16才が義務教育に相当し、日本の高校卒業程度の学修を済ませます。ただ、大学進学を希望する人はその資格取得のための課程(シックス・フォーム)でさらに2年間学ばなければなりません。日本の大学は4年間、イギリスの大学は3年間ですが、そのぶん日本の大学1年で学ぶような入門的な科目を、イギリスではこの2年間の課程で学びます。日本の高等学校は、通常はこの2年間の課程に相当する内容をカバーしていません。

ビジネスにもなる教育の仕組み

このように、日本とイギリスの教育制度の間には「段差」が横たわっています。これは日本とイギリスの間に限ったことではなく、国が違えばそれぞれの国の教育制度の間を移動するのに少なからず「段差」や「溝」が存在します。
そこでイギリスはこの「段差」に着目し、留学生対象の「経路プログラム」を提供することで世界中から留学生を呼び込み、イギリスの大学へと誘ってきました。プログラムで学んだ留学生をそのまま大学正規課程に誘えば、大学教育の質も維持でき、国内学生の2〜3倍の授業料収入が見込めます。「段差」や「溝」を留学生獲得のビジネスチャンスとしてとらえているのです。

身近なところにもある教育の仕組み

教育を仕組みとしてとらえれば、身近なところでも発見があります。例えば、毎日使う教科書—実は、地域ごとにどの教科書を採択するかを決める会議があり、採択の過程で市民の声も反映されます。仕組みという視点で見ることで、子どもの教育に地域の一般市民が参加できるよう工夫されていることがわかるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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福山市立大学 教育学部 児童教育学科 准教授 三山 緑 先生

福山市立大学 教育学部 児童教育学科 准教授 三山 緑 先生

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教育行政学、教育制度論、教師教育

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メッセージ

大学では、将来役に立ちそうだと考えたことよりも、興味・関心を持ったことにどんどん手を伸ばしてみてください。最短距離で正解にたどり着くことや、「コスパ」、「タイパ」、「省エネ」ばかりを考えるのではなく、興味を持ったさまざまなことに挑戦してほしいです。ときには失敗したり回り道をしたりするかもしれません。でもそんな非効率に思える時間の中にこそ、豊かな学びがあります。大学は、失敗をしても許される場所でもあります。学業に限らず、さまざまな活動に積極的に飛び込んでみてください。

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福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。