多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育の実装

学校教育の許容度の低下と質の低下
近年、特別支援学級や特別支援学校に籍を置く子どもが増加しています。しかし、障害のある子どもの出生率が増えているわけではありません。学校教育の許容度が下がってきており、20年前であれば通常学級で過ごしていた子どもが、特別な教育の場で学ぶようになっているのです。
特別な教育の場の在籍者数が増えれば、必要な教員数は増えます。すると、教員不足が生じ、学校教育全体の質の低下が生じるようになっています。同時に、特別支援教育の経験や免許のない教師が特別な教育の場を担当するケースが増え、そうした場における専門性を保証することも難しくなってきています。
個人主義から協働への転換
多様な子どもが共に学べる「インクルーシブ教育」を実現するためには、「障害があると授業についていけない」という発想を変えなければなりません。
小3算数の「2桁×1桁の筆算」の単元を考えましょう。通常は、教師の説明の後で、子どもは個人で問題を解かされます。そうすると、特定の子どもが、授業についていけなくなっていきます。
このような「個人主義」的な学習観を、「協働」の学習観に変えなければなりません。
ある教師は、「2桁×1桁の筆算問題のレベル分けをしましょう」という課題を作り、グループを作って子どもに協働的に取り組ませました。そうすると、子どもたちは「この筆算は難しい/簡単だ」と議論しながら問題を解き進めました。そして、筆算がまだ難しい子どもも「難しい」と言えるので、活躍することができたのでした。
インクルーシブな教育の実装
インクルーシブ教育を実装する研究が、大学の附属学校で行われています。R8年度からは「交流籍」と「協働担任制」という仕組みを全国で初めて導入し、小中学校と特別支援学校の教師が、上述したような活動や教材を一緒に考える取り組みを始めました。
こうした取り組みによる課題の解決や成果が周知されていけば、日本の学校にインクルーシブ教育が定着する未来も遠くないはずです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報

信州大学 教育学部 特別支援教育コース 准教授 楠見 友輔 先生
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