めんこや水きりに学べ! スポーツ医・科学が見直す「投げる」の基本

めんこや水きりに学べ! スポーツ医・科学が見直す「投げる」の基本

ボールを遠くまで投げられない子どもたち

近年、子どもたちの体力・運動能力低下が懸念されています。低下の程度はデータでも顕著に表れており、スポーツ庁の体力・運動能力調査によると、小6男子のソフトボール投げの記録は、昭和60年から8.5mも低下しています。
背景には、テレビゲームの普及や外遊びの減少があります。かつては、「めんこ」や「水きり」など、「投げ」を含んだ外遊びがたくさんありました。しかし現在は、外遊びの機会が極端に減りました。この問題を解決しようと、近年のスポーツ医・科学では、身体の構造と機能の観点から、上手な投げ方の研究が進んでいます。また、その上手な投げ方を簡単に身につけるための手段も研究されています。

昔の外遊びに学ぶ、「投げる」の基本

現在注目されているのが、昔の外遊びにも共通する「地面に向かって投げる動作」です。「めんこ」や「水きり」などは一見すると単なる外遊びですが、そこには効率よく身体を動かせるヒントが隠れています。
近年の研究で、ボールを地面に向かって投げると、重力も手助けし、身体を大きく素早く回旋できることがわかっています。また、身体を大きく素早く回旋することは、上手な腕の使い方にもつながります。ボールを地面に向かって投げる練習法は、元々は肩やヒジを痛めた選手のリハビリとして使われていました。現在では、投球障害の予防や投球パフォーマンスの向上にもこの練習法は応用されています。

未来の名選手は、外遊びから生まれる?

近年は世界で活躍する選手が次々と現れる一方で、子どもたちの体力・運動能力は著しく低下しています。スポーツ界では今、「トップ選手の競技力向上」と「裾野の選手の体力・運動能力の低下」が同時進行しています。
この分野の研究は、技術や体力だけでなく、子どもたちの運動習慣にも目を向けます。未来の名選手を育てるには、多くの子どもたちが身体を動かせる環境づくりが欠かせません。スポーツ医・科学は、トップ選手の強化だけでなく、スポーツ文化を支える学問でもあるのです。

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帝京平成大学 健康メディカル学部 医療科学科 スポーツサイエンスコース 教授 伊藤 博一 先生

帝京平成大学 健康メディカル学部 医療科学科 スポーツサイエンスコース 教授 伊藤 博一 先生

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スポーツ科学、スポーツ医学

メッセージ

現代の子どもたちは、体格が良くなっているにも関わらず、体力・運動能力は低下しています。また、昔は外遊びの中で自然に投球動作を覚えましたが、子どもたちが外遊びをしなくなったので、1から投球動作を教える時代に変わりました。
基本練習には「安全」「合理的」「簡単」の3条件が必要です。この3条件をすべて満たす唯一の投球練習法が「真下投げ」です。現代の子どもたちには、「真下投げが基本練習で、キャッチボールは応用練習だ」と教えていきましょう。
あなたの競技スポーツでも、基本練習の見直しが必要かもしれません。

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