従わせる時代から主体性を伸ばす時代へ 変革するスポーツ指導

なぜ指導者は感情的になるのか
スポーツ界における体罰は近年減少している一方で、威圧的な言葉や無視といった精神的なハラスメントは、今も課題として残っています。「なぜ日本のスポーツでは厳しい上下関係が生まれやすいのか」を、歴史や文化、心理学の視点から分析する研究が行われています。
背景には、学校体育や武道の文化も影響していると考えられますが、個人より集団を重視し、「指導者の言うことは絶対」という価値観が、長くスポーツ現場に根づいてきたことも事実です。また、「なぜ指導者は感情的になるのか」という指導側の心理面に注目する研究もあります。普段は温厚な人でも「思い通りに選手が動かない」と感じた瞬間、威圧的な言動をあらわにする場面があります。そこにはどんな要因が関わっているのか、考察が進められています。
「考える選手」はどう育つ?
スポーツ界では今、「プレイヤーズセンタード」という指導の考え方が注目されています。選手を「言われた通りに動く存在」ではなく、「自分で考え、成長する主体」ととらえる考え方です。ただ、「自由にやっていいよ」と放任するだけでは、主体性は育ちません。研究では、選手が自分で考えながら成長するための指導者の声掛けや関わり方が探究されています。例えば、ポジション変更を伝えるときも、「向いていない」ではなく、「この役割なら強みがもっと伸びる」と伝えるだけで、選手の受け取り方は変わります。命令ではなく、気づきを促すコミュニケーションが重要視されているのです。
最も成長できる環境とは
研究の目的は、ハラスメントを減らすことだけではありません。選手が安心して挑戦し、自分で考えて成長できる環境づくりをめざします。一方、選手側にも柔軟性は必要です。自分の考えに固執せず、新しい役割や価値観を受け入れることで、思わぬ才能が開花することもあります。スポーツ指導の「当たり前」は、「勝つために怒る」から「成長を支える」へと大きく変わろうとしています。
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先生情報 / 大学情報

駿河台大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 教授 大森 一伸 先生
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