言語化の難しい看護師の「わざ」をどう伝授するか

看護師が磨く「わざ」とは
一人前の看護師になるには、国家試験に合格してから5年間のうちに、臨床の現場で経験を積んで知識を磨き、チームをまとめるリーダー力やコミュニケーション力を養います。その後、認定看護師や専門看護師など、さまざまなスペシャリストへの道に進みます。
試験合格後の5年間、現場で習得するのは、医療処置や生活援助などの「技術」と「わざ」です。わざとは、患者の個性に合わせた柔軟な対応や、心に寄り添った対応のことです。近代看護の母と呼ばれるフローレンス・ナイチンゲールは、「看護とは患者自らが治ろうとする自然治癒力を引き出すことだ」と言いました。そんな「良くなりたい」というやる気をうまく引き出すため、経験豊富な看護師は「待つ」ことを実践します。
待つことで治癒力を引き出す
看護師が食事の介助を行うとき、口の中へスプーンを運びますが、口の中でわざと止めることがあります。患者は「自分で食べたい」という意思を持っているため、患者ができるだけ自分の意思で舌をあげて、かんで飲み込む行動をやりやすくするためです。そのため、看護師は患者の動作を「待つ」ことになりますが、それは患者の自ら「やろう」とする力を引き出す時間です。
さまざまなわざの習得は個人の豊富な経験によるところが大きいのですが、言語化が難しいために若手看護師にうまくコツを伝授できず、習得に時間がかかっているのが現状です。しかしこのスプーンの事例のように、何か一つ具体的な例を示して教える教育方法や、繰り返し練習して感覚をつかむことで、早い習得につながることがわかってきています。
プロセスの言語化が大事
今の医療現場は、限られた時間内での効率のよい医療行為が求められています。そのため、ベテラン看護師によるわざの伝授が、ますます必要になっています。言語化しにくいわざを教えるためには、わざのプロセスを言葉にする作業が必要です。個人の経験に基づく看護師のわざのプロセスをいかに言葉にして共有するか、試行錯誤が続いています。
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