自然治癒力を助ける柔道整復術の科学的根拠は?

手術をしない治療法
骨折や脱臼の治療をする場合、中には手術が必要なケースもあります。しかし、重傷でなければ手術や薬に頼らず、けがを治すこともできます。それを可能にするのが柔道整復学で、骨折・脱臼・打撲・捻挫といった外傷が対象です。
土台にあるのは、人間の体に備わっている自然治癒力です。骨や組織が傷つくと、体は少しずつ修復しようとします。その回復を促進するのが柔道整復による治療の考え方です。患部を包帯や金属副子などで支える「固定」が代表的な方法で、正しい位置で固定することで体が本来の力を発揮できるようなります。
現場の経験を科学的に分析
柔道整復の技術は、長年にわたり現場で積み重ねられた経験に支えられてきました。その経験に、誰もが納得できる客観的な根拠を持たせる研究が進められています。
例えば、脱臼の整復という技術があります。脱臼の整復原則の一つに「脱臼の発生した経路を逆に導く」といった決まった通り道があり、少しでもずれるといくら整復動作を行っても元に戻りません。施術者は経験からこの道筋を探り当てますが、研究ではこれをデータ化するため、成功例と失敗例の映像を見比べて、手の当て方や牽引する方向の違いを細かく分析します。複数の治療法が考えられるからこそ、地道な検証が欠かせません。
毎日変わる体に合わせる
患部の固定は、一度行ったら終わりではありません。同じけがであっても、むくみや痛みの具合は人それぞれです。包帯なら毎日巻き直せるため、状態に合わせて締め方や固定範囲を細かく調整できます。手や指を固定しすぎると動かしにくくなるため、むくみを抑えつつ動かしやすくする工夫が不可欠です。こうした調整をいつどのように変えたのかをカルテに記録し、何が回復につながったか検証します。けがの現場では道具がない状況で身近な物を使って固定することもあり、その経験も研究に生かされます。現場と研究を行き来し、経験を確かな知識に変えていくのです。
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先生情報 / 大学情報

帝京大学 医療技術学部 柔道整復学科 講師 刈屋 遵 先生
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