描く動作から認知機能を分析 AIが高齢者の検査を支える

描画検査をデジタル化
認知症の検査の一つに、描画検査があります。検査では、「10時10分を指すアナログ時計の文字盤」を描いてもらったり、立方体を模写してもらったりして、認知機能を評価します。
現在は紙に描いてもらっていますが、タブレットを使い、デジタル化する取り組みが進められています。メリットは、紙の検査では記録できなかった、どの順番で描いたか、どこで手が止まったか、どのくらいの速さで書いたかといった情報が、リアルタイムで取得できることです。
AIが評価の根拠も報告
デジタルの描画検査では、高齢者が使いやすいように、ペンには太いグリップが取り付けられ、画面には紙のような書き心地のフィルムが貼られます。手の震えは画面上では目立たないよう処理されつつも、データとしてはしっかり記録されます。取得されたデータはAIを使って分析し、医師が見落としがちな特徴も可視化されます。ただし、AIは診断を下さず、医師の判断を支える情報提供という形で結果を伝えます。「なぜそのような結果になったか」を説明できる設計が意識されており、AIが分析結果を根拠とともに示せる仕組みになっています。
検査という形を取らずに認知機能の変化を把握するシステムの開発も進められています。高齢者に毎日、タブレットで一言の手書き日記を書いてもらえば、筆跡の変化から認知機能や身体機能の衰えを継続的に診断できる可能性があります。本人に検査を意識させることなく、継続的にデータを蓄積し、インターネットとタブレットがあればどこでも利用できるため、医療機関が少ない地域での活用も期待されています。
人を中心にしたソフトウエア開発を
こういったシステムの開発において重要なのは、使う人にとってわかりやすく、安心して利用できるよう、人の立場や利用する場面に合わせて設計することです。消防署の最適配置や教育現場を支援するシステムなど、異なる分野でも同じ考え方を重視しており、人を中心に据えたソフトウエアの開発が進められています。
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