世界規模で考える、安全で安心して暮らせるまちづくりとは

世界規模で考える、安全で安心して暮らせるまちづくりとは

国によって異なる災害の姿

日本では大雨で道路が川のようになる、そんな災害に見舞われても、多くの場合、時間の経過とともに早期に道路や生活環境が復旧し、日常生活を取り戻していきます。しかし、世界に目を向けると状況は大きく異なります。例えばタイでは、5月から10月の長い雨期に度々洪水が起こります。ある地方都市では、洪水が発生したときには浸水深が2~3メートルにも達し、1階部分が水につかった状態が、1~2カ月もの長期間にわたって続きます。

最新技術だけではダメ?

このような被害を防ぐため、海外からの支援でインフラ整備が進められることもあります。その場合、日本のような緻密な避難計画や都市計画を導入すればよいと考えるかもしれません。しかし、優れた技術や計画をそのまま持ち込んでも、現地の生活様式や考え方に沿わなければ意味がありません。
実際に、浸水リスクが非常に高い地域の住民に「新しい家と引っ越し費用を全額出す」と提案しても、移転を希望する人はわずか20%程度だったという調査結果があります。その背景には、「先祖代々の土地だから」という強い愛着や、「残りの10カ月は普通に暮らせる」という考えを持つ人がいるからです。最新の設備や計画を押し付けるだけでは、現地の人々の暮らしや思いを置き去りにしてしまうのです。

各地の暮らしや文化に寄り添う

世界規模で「安全で安心して暮らせるまち」を考えるとき、大切なのは、人々の文化や国民性を尊重することです。住民が「今の場所に住み続けたい」と望むのであれば、頭ごなしに否定するのではなく、どうすれば被害を抑えられるのか、生活への影響を減らせるのかを現地の人と共に考える必要があります。人々が災害時にどう行動するのかをデータから読み解き、見えにくい課題を明らかにした上で、いかなるときでも交通ネットワークなどが機能する社会をどう構築するかを考えることが重要です。人々の思いをくみ取りながら対策を模索していくことこそが、本当に暮らしやすい未来のまちづくりへとつながっていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

金沢大学 融合学域 観光デザイン学類 助教 積田 典泰 先生

金沢大学 融合学域 観光デザイン学類 助教 積田 典泰 先生

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土木計画学、交通工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

災害が起きたときに、どこが危険なのか、人はどんなふうに移動するのかということを考えたことはありますか。私は、地図情報やAI、機械学習を使って災害リスクや人の動きを分析・研究しています。さまざまなデータから実態を多面的に見ることで、人々の感覚の違いや見えにくい地域独特の課題を明らかにして、安全で暮らしやすいまちづくりをめざしています。身近な地域を対象に、データから未来のまちづくりを考える面白さをぜひ知ってもらいたいです。

先生への質問

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金沢大学に関心を持ったあなたは

金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。