デジタル時代のアニメーション制作に必要な力は

デジタル時代のアニメーション制作に必要な力は

アニメーションの二つの世界

アニメーションには、大きく分けて二つの分野があります。テレビや映画などでおなじみの「商業アニメーション」は、多くのスタッフが「キャラクターデザイン」や「作画」「背景」などを分担し、監督の方針に沿って作品を作ります。対照的に「アートアニメーション」は、個人が自分ならではの芸術性や表現のスタイルを追究する作品です。立体のコマ撮りや、鉛筆や絵の具などを使った手描きの作品も多く、制作の途中で偶然生まれた線や質感を生かすこともあります。

人間らしさを描くには

人の心を動かすアニメーションを作るのに必要なものは、商業アニメーションでもアートアニメーションでも同じです。それは「人間」を理解することです。例えば重たいものを持ち上げるとき、人は一度重心を下げてから持ち上げ、置いた後は一瞬前屈みになります。こうした細かな動作やその際の骨格や筋肉の動きを観察して表現できなければ、キャラクターはロボットのような不自然な動きになってしまいます。
ストーリーの描写も同じです。人はどのようなときに喜び、怒り、悲しみを抱き、その感情はどんな表情や行動として表れるのかを表現する必要があります。お年寄りと子どもでは、動きも反応も異なります。生成AIが簡単に大量の絵や映像を作れる時代だからこそ、クリエイターの人間を観察して深く理解する力が重要なのです。

手描きが新鮮な表現に

近年、アートアニメーションで培われてきた手法が、商業アニメーションにも取り入れられています。商業アニメーションにおいてデジタル技術やCGが普及する一方、鉛筆で描いたような粗い線や手描きならではの質感が、キャラクターの感情を表現するために用いられることがあります。デジタルでは表現が均一になりやすいからこそ、線のゆらぎ、偶然生まれる思いがけない表現が、新鮮なものとして見直されているのです。
「何を伝えたいのか」を考え、人間を観察し、自分ならではの表現を生み出そうとする力は、アニメーション作りの大切な土台であり続けるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

広島市立大学 芸術学部 デザイン工芸学科 准教授 城井 文 先生

広島市立大学 芸術学部 デザイン工芸学科 准教授 城井 文 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

文学、映画学、解剖学、クロッキー

先生が目指すSDGs

メッセージ

映像はもちろん、芸術分野で問われるのは最後は「人間とは何か」です。文学や映画、歴史などを通し、人間の多面性に興味をもつ事も大事です。大学では、自分の専門だけでなく、語学や歴史など幅広い分野を学ぶ事ができます。地域や海外の人たちと交流する機会もあります。そうした経験を通して視野を広げることは、自分の表現に厚みを与え、将来の可能性を広げることにもつながります。今はまだやりたいことや将来の仕事がはっきり決まっていなくても、大学での学びや人との出会い、またさまざまな経験を通して決めていくのもお勧めです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

広島市立大学に関心を持ったあなたは

広島市立大学は、広島市の都市像である「国際平和文化都市」にふさわしい大学づくりをめざして、1994年に「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の理念として開学しました。
世界と地域が求める新しい時代の要請に応えるため、「国際、情報、芸術、平和」をキーワードに、特色ある教育研究活動を通じ、学術の振興と感性豊かな創造力、実践力を備えた人材を養成し、教育研究の成果を地域に還元するとともに広く世界に発信しています。